樽の中のネコデゲス

経済/ビジネス

メイヨー&レスリスバーガーのホーソン実験

ホーソン実験とは管理者および物理的な環境やシステムを重視するテイラーの科学的管理法を反証するように、能率というものが労働者個人の意志のあり様や個人的な人間関係に強い影響を受けるということを明かした実験です。それまでの非人間的な経営管理の手法...
芸術/メディア

ディフォルメの原理

ディフォルメとは何か「ディフォルメ(仏:deformer)」とは、「~を変形させる、~の形をゆがめる」などという意味の言葉です。主に美術の領域では、意図的な変形によって何らかのものを表現する際に使われる言葉です。ここでは狭義の専門用語として...
経済/ビジネス

テイラーの『科学的管理法の原理』

<序章>本書のねらい形のある目に見えるモノの無駄は認識されやすいので、人間に強い反省を促します。しかし、形の残らない人間行動の無駄を認識するには、記憶や想像によって推理しなければなりません。モノの浪費より、人間の浪費の方がはるかに重要な問題...
哲学/思想

プラトンの『ゴルギアス』(5)終幕

(4)のつづき終幕(507d~527e)ソクラテス私の述べたいことは以上になる。賢者たちの言うところでは、天も地も、神も人も、すべてを結びつけるものは秩序や節度なのだ。なぜ彼らが宇宙をコスモス(調和、秩序)と名付けたか分かるね。カリクレスあ...
哲学/思想

プラトンの『ゴルギアス』(4)カリクレス編・下

(3)のつづきソクラテス君は欲望の無制限の解放が人間の徳であり幸福であると言う。しかし、過去の賢者たちは、満たされて欲望を持つ必要のない充足した状態を幸福だと言う。これは間違いかね。カリクレスもしそうだとしたら、石コロや死人が最も幸福な者と...
哲学/思想

プラトンの『ゴルギアス』(3)カリクレス編・上

(2)のつづき<第三幕、対カリクレス戦(481c~507c)>カリクレスちょっと待ってくれ、ソクラテス。あなたはそれを本気で言っているのか?それとも何かの冗談か?われわれ人間の現実の生き方は、あなたの言う生き方とは正反対のものではないか。ソ...
哲学/思想

プラトンの『ゴルギアス』(2)ポロス編

(1)のつづきポロスどちらにしろ、独裁者のような力を持つ彼らを羨ましいとは思わないのですか?ソクラテス惨めな人達に対しては、羨みではなく、憐れみが必要なのだ。ポロス憐れなのは、不正に死刑に追い込まれ死んでいく者の方でしょう!ソクラテス不正に...
哲学/思想

プラトンの『ゴルギアス』(1)ゴルギアス編

哲学者とソフィスト「哲学者(フィロソファー)」は英語で「philo(愛)+sophy(知)+er(人)」、「ソフィスト」は「sophi(知)+ist(人)」です。「哲学者」とは知を愛する者、「ソフィスト」は知の専門家(知識人)や学者といった...
芸術/メディア

アリストテレスの『詩学』(かんたん版)

創作の起源本書の主題は「詩作」ですが、語義的にそれは芸術的な「創作」に近いものです。アリストテレスはその創作の基本を物事の「再現(模倣、描写)」と考えます。人間には生来的に再現を好む傾向があり、それは人々が実際の風景より精巧なミニチュアのジ...
社会/政治

メイロウィッツの『場所感の喪失』第一部、メディアによる変化

第一章、メディアと行動既存のメディア論の大半は、メッセージ内容を主題としたものであり、各メディア相互の差異やメディア自体が持つ可能性は見落とされています。メッセージ内容ではなく、それを取り巻く状況や受け手の主体性からアプローチする新しい研究...
科学/自然

ユクスキュルの『生物から見た世界』(かんたん版)

生物によって違う感覚機能生物はそれぞれ独自の感覚機能を持っています。人間であればいわゆる五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)と呼ばれるものです。当然、生物によってはその機能の数や種類や質が違い、人間と違って視覚や聴覚の無い生物もいれば、逆に...
社会/政治

リースマンの『孤独な群集』三つの社会的性格

性格と社会社会的性格(キャラクターの意)とは、「イタリア人は陽気、日本人は真面目、アメリカ人は実利的」などと言われるような、その社会の成員が一般的にもつ性格特性を表したものです。社会的性格は、その社会が必要とする特性を獲得するように形成され...
芸術/メディア

柄谷行人の『日本近代文学の起源』構成力について

(2)のつづき構成力について(没理想論争)一、日本の近代以前の文学には、何か深みというものが無いように思えます。しかし、別に江戸時代の人々が深いことを考えていなかったという訳ではありません。これは文学に限らず、絵画にも同様の問題が含まれてお...
芸術/メディア

柄谷行人の『日本近代文学の起源』告白という制度

(1)のつづき告白という制度一、告白という形式と日本の近代文学の成立は並行します。告白は告白されるべき「内面」を生じさせます。告白という形式の文学作品(表現されたもの)と、告白する作家の内面(表現されるべきもの)の分化生成です。表現されるべ...
芸術/メディア

柄谷行人の『日本近代文学の起源』風景の発見

風景の発見一、「文学」という観念は相対的なものであるのですが、その中にいる限りなかなかそれに気付くことができません。漱石の学んだ英文学の普遍性への疑いは、それが決して経験に先立つアプリオリなものではなく、その起源(歴史性)を覆い隠すことによ...
哲学/思想

ニーチェの積極的ニヒリズム

積極的ニヒリズムと消極的ニヒリズム若い頃のニーチェが心酔したショーペンハウアーの哲学(消極的ニヒリズム)を乗り越えるために持ち出された概念が「積極的ニヒリズム」です。対決しようとする「消極的ニヒリズム」の病因はプラトンに始まるヨーロッパ形而...
哲学/思想

ライプニッツのモナド(かんたん版)

モナドとは何か物質的な原子というものは、それ以上分割不可能な存在、世界の究極的な構成要素と考えられていました。しかし、物質が分割不可能なのは、現時点での技術的な限界か定義によるものです。いかに小さくとも何らかの空間的広がりを持つ以上、原理的...
哲学/思想

ライプニッツのモナド(4)神と善

(3)のつづき神の本質では、これらすべてを含む神は、どういうものであるかというと、それは、現実的にあらゆる可能性を含んだ存在であり、かつそこからあらゆる可能な述語(観念)を導出することの出来る存在です。分かりやすく言うと、物理的世界全体であ...
人生/一般

問題意識とは何か

問題意識社会に出て働き出すと、職場の先輩や上司は例外なく「問題意識を持て」などと言います。世界平和や飢えた子供を救うというような大きな問題解決を仕事にする人ならまだしも、私達のような普通の仕事、毎日定食を作ったり、荷物を運んだり、電話に出た...
哲学/思想

ライプニッツのモナド(3)モナドと予定調和

(2)のつづき実体の唯一性ライプニッツは実体を「非物質的な原子」のようなものとして捉えます。さらに物理的な原子は相互に均一で限られた数しか存在しないのに対し、ライプニッツのそれは世界中に同じものがひとつとない完全に多様な世界を構成するもので...
哲学/思想

ライプニッツのモナド(2)理由律と真理

(1)のつづき矛盾律(モナドロジー31節)ライプニッツは人間の思考の二つの原理として、「矛盾律(矛盾の原理)」と「充足理由律(理由の原理)」を挙げます。例えば、命題「この餅は白い」とその否定命題「この餅は白くない」は、(常識的に)同時に成り...
哲学/思想

ライプニッツのモナド(1)統覚と微小表象

モナドモナドの定義とは、“部分を持たない単純な実体”です。ギリシャ語のモナス(一なるもの)を語源とし、モナドロジーは『単子論』とも訳出されています。単子というと、物理学の原子と似たようなイメージで捉えられてしまいそうですが、まったく反対のも...
芸術/メディア

創造(想像)とは何か

注、本頁は以前書いた「オリジナルとは何か」を発展させたもので、やや内容が重複しています。現実の本質SF映画によくあるように、私の全ての記憶を消去されたとします。そして、私は部屋で目覚めます。その時、最初に私の眼に映ったものは、「こたつの上で...
芸術/メディア

芸術家(職業)とは何か

食えない芸術家「芸術家は食えない」とよく言われます。プロ(その道一本で食っていける)の芸術家と呼ばれる人も、大半が教えること(教育者)としての収入であり、純粋に自分の作品によるものではありません。そういう意味では芸術大学の偉い教授より、繁華...
芸術/メディア

何のためのデッサンか

はじめにここで言うデッサンとは、パースの正確なホンモノのような絵のことです。石膏像で訓練するようないわゆる受験絵のデッサンであり、それを通して絵画における表現と技術の基本的な問題を考察します。表現と技術絵を描くということは、頭の中にあるイメ...
心理/精神

アドラーの個人心理学

伝統的な目的論「人間は行動の選択において、常にその人にとって最良の選択をしている。もし、それがその人にとって悪い結果を導くなら、それは無知によるものである」これはプラトンにはじまるひとつの人間観であり、形を変えながら、様々な思想家の基礎とな...
芸術/メディア

小野洋子の『グレープフルーツ』

概要本書は1964年東京で最初に出版され、後に1970年ロンドン、1971年ニューヨーク、そして逆輸入的に日本語完訳版(田川律訳)が1982年東京新書館より出版されました。作品自体は1955年から描き集められたものであり、日本で作られた作品...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(4)革命の完成

(3)のつづき第十一章、革命の不可視化科学において非常に重要になるのが、教科書という権威ですが、この教科書というものは、革命や危機の混迷を可能な限り目立たないように編集します。まるで科学が合理的で直線的な歴史の中で、現在まで進歩し続け、いま...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(3)科学革命

(2)のつづき第八章、危機への反応科学者は変則性に出会いながらも、既成のパラダイムを放棄しようとはせず、危機を導く反証例を反証と認めたがりません。一度パラダイムとなった科学理論は、それに変わるパラダイムによって取って代わられるまでは無傷であ...
経済/ビジネス

マルクスの『資本論』(かんたん版)

例、あるタコ焼き屋にて私は高校卒業後、たこ焼き屋さんの従業員として働き始めました。一人で切り盛りできる程度の店で、けっこう自由に楽しく働いています。平均一日10万円程度の売上げで、材料費や設備、広告費など全て差し引いて5万円ほど残ります。そ...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(2)危機の科学

(1)のつづき第五章、パラダイムの優位ある時期における概念や装置や方法などを理論的にとらえる際、そこに何らかの標準的な説明の仕方が共通して見られます。それがその専門家集団のパラダイムであり、それは教科書や講義や指導などを通して現れ、学生はそ...
社会/政治

マキアヴェリの『君主論』(かんたん版)

<まとめ>二、世襲による君主政体の維持は容易である。伝来の秩序に従い普通に対応する能力があれば問題ない。三、新興の君主政体は軍事力によって新しい臣民を獲得するため不安定で、臣民の心を掴めなければ反乱によって失う。しかし、反乱の鎮圧に成功し、...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(1)通常科学

第二章、通常科学への道通常科学とは、ある過去の科学的業績を基礎にして進めていく研究を指し、それは次の科学革命が起こるまで一定期間続きます。その基礎的な業績となる条件としては、第一に、その業績が他の対立する研究の支持者を転向させるほどの斬新さ...
社会/政治

マキアヴェリの『君主論』(4)その他

(3)のつづき第二十章、その他、君主が行うべきこと新しく君主になったものは、臣民の武装を解除してはいけない。臣民を武装させれば、必然的に臣民は君主の党派となる。もし、すべての臣民を武装できなかったとしても、武装した者に厚い恩恵を与えることに...
社会/政治

マキアヴェリの『君主論』(3)人格論

(2)のつづき第十五章、君主への賞賛および非難について臣民や味方に対する君主の態度や統治のあり方はどうあるべきか。いかに人が生きているかという現実を考慮せずに、いかに人はあるべきかという理想ばかりを追求する既存の君主観(君主=有徳説)は、む...