芸術/メディア芸術家(職業)とは何か 食えない芸術家 「芸術家は食えない」とよく言われます。 プロ(その道一本で食っていける)の芸術家と呼ばれる人も、大半が教えること(教育者)としての収入であり、純粋に自分の作品によるものではありません。 そういう意味では芸術大学の偉い教... 2019.07.01芸術/メディア
芸術/メディア何のためのデッサンか はじめに ここで言うデッサンとは、パースの正確なホンモノのような絵のことです。 石膏像で訓練するようないわゆる受験絵のデッサンであり、それを通して絵画における表現と技術の基本的な問題を考察します。 表現と技術 絵を描くという... 2019.06.30芸術/メディア
心理/精神アドラーの個人心理学 伝統的な目的論 「人間は行動の選択において、常にその人にとって最良の選択をしている。もし、それがその人にとって悪い結果を導くなら、それは無知によるものである」 これはプラトンにはじまるひとつの人間観であり、形を変えながら、様々な思想家の... 2019.06.24心理/精神
芸術/メディア小野洋子の『グレープフルーツ』 概要 本書は1964年東京で最初に出版され、後に1970年ロンドン、1971年ニューヨーク、そして逆輸入的に日本語完訳版(田川律訳)が1982年東京新書館より出版されました。 作品自体は1955年から描き集められたものであり、日本で作ら... 2019.06.15芸術/メディア
科学/自然クーンの『科学革命の構造』(4)革命の完成 (3)のつづき 第十一章、革命の不可視化 科学において非常に重要になるのが、教科書という権威ですが、この教科書というものは、革命や危機の混迷を可能な限り目立たないように編集します。 まるで科学が合理的で直線的な歴史の中... 2019.06.11科学/自然
科学/自然クーンの『科学革命の構造』(3)科学革命 (2)のつづき 第八章、危機への反応 科学者は変則性に出会いながらも、既成のパラダイムを放棄しようとはせず、危機を導く反証例を反証と認めたがりません。 一度パラダイムとなった科学理論は、それに変... 2019.06.09科学/自然
経済/ビジネスマルクスの『資本論』(かんたん版) 例、あるタコ焼き屋にて 私は高校卒業後、たこ焼き屋さんの従業員として働き始めました。 一人で切り盛りできる程度の店で、けっこう自由に楽しく働いています。 平均一日10万円程度の売上げで、材料費や設備、広告費など全て... 2019.06.05経済/ビジネス
科学/自然クーンの『科学革命の構造』(2)危機の科学 (1)のつづき 第五章、パラダイムの優位 ある時期における概念や装置や方法などを理論的にとらえる際、そこに何らかの標準的な説明の仕方が共通して見られます。 それがその専門家集団のパラダイムであり、それは... 2019.06.04科学/自然
社会/政治マキアヴェリの『君主論』(かんたん版) <まとめ> 二、 世襲による君主政体の維持は容易である。 伝来の秩序に従い普通に対応する能力があれば問題ない。 三、 新興の君主政体は軍事力によって新しい臣民を獲得するため不安定で、臣民の心を掴めな... 2019.06.03社会/政治
科学/自然クーンの『科学革命の構造』(1)通常科学 第二章、通常科学への道 通常科学とは、ある過去の科学的業績を基礎にして進めていく研究を指し、それは次の科学革命が起こるまで一定期間続きます。 その基礎的な業績となる条件としては、第一に、その業績が他の対立する研究の支... 2019.06.03科学/自然
社会/政治マキアヴェリの『君主論』(4)その他 (3)のつづき 第二十章、その他、君主が行うべきこと 新しく君主になったものは、臣民の武装を解除してはいけない。 臣民を武装させれば、必然的に臣民は君主の党派となる。 もし、すべての臣民を武装できなか... 2019.06.02社会/政治
社会/政治マキアヴェリの『君主論』(3)人格論 (2)のつづき 第十五章、君主への賞賛および非難について 臣民や味方に対する君主の態度や統治のあり方はどうあるべきか。 いかに人が生きているかという現実を考慮せずに、いかに人はあるべきかという理想ばかりを追求する既存の... 2019.05.30社会/政治
社会/政治マキアヴェリの『君主論』(2)政体論・下 (1)のつづき 第八章、極悪非道な手段によって獲得された君主政体 極悪非道、残虐な手段によって君主になった者の生き方を考察してみると、そこに運(幸運)や他力依存の要素がほとんどない。 無数の困難と危機を... 2019.05.27社会/政治
社会/政治マキアヴェリの『君主論』(1)政体論・上 第一章、君主政体の種類と獲得方法 あらゆる政体は共和政か君主政かどちらかである。 君主政体は、血統による世襲の政体か、新興の政体である。 領土を獲得する方法は、自己の軍備によるか他者の軍備によるか。 また、その獲... 2019.05.24社会/政治
人生/一般偽善とは何か 偽善という言葉の難しさ 最近、「偽善」という言葉がやたらと使われます。 しかし、多くの場合、意味がない、あるいは適切でない文脈で使われているため、それはまったく生産的でない空虚な言葉になってしまっています。 そこで「偽善」という言葉の... 2019.05.22人生/一般
心理/精神アリストテレスのカタルシス カタルシスの一般的な意味 「カタルシス」は主に「浄化」などと訳される言葉であり、元々は医学的な意味での不純物の排出、宗教的な意味での穢れの浄化、そしてプラトンにおける哲学的な意味での魂の浄化として使われていました。 しかし、アリストテレ... 2019.05.21心理/精神芸術/メディア
宗教/倫理藤原基央の『カルマ』 運命の車輪 まずこの絵をよく見ていただきたいのですが、回転する車輪に人間がしがみつき、一番下には骸骨、その上に浮浪者、その上に一般人、その上に貴族が描かれています。 回転軸に紐が結ばれ、回転するようになっており、誰かが上がれ... 2019.05.20宗教/倫理芸術/メディア
芸術/メディア藤原基央の『天体観測』 BUMP OF CHICKEN 『天体観測』作詞・藤原基央 解説(仮説) 1.「午前二時 フミキリに 望遠鏡を担いでった」 踏み切りで向かい合う男女、それを遮る列車の流れ、みたいなシーンはよくあ... 2019.05.19芸術/メディア
哲学/思想和辻哲郎の『風土』(かんたん版) 存在は時間から生まれる 私たちの目の前にあるものは、どのようにして存在するのでしょうか。 私の目の前の「美しい花」は、通勤で慌しく通り過ぎていく人にとっては「道路の背景」であり、田舎の子供にとっては「美味しい蜜が出る... 2019.05.18哲学/思想社会/政治
芸術/メディア詩とは何か はじめに ここで言う「詩」とは、「詩的なもの」という広い意味で使っています。 詩(詩的なもの)の良さがイマイチ分からない人に対して、ざっくりそれがどういうものなのかを簡単に説明することが目的です。 詩的... 2019.05.17芸術/メディア
芸術/メディアアリストテレスの『詩学』(3)~最終章迄 (2)のつづき 第十六章、認知の種類 1.印による認知。生まれつきのあざや傷や刻印、首飾り等の外的標識。技法としては稚拙だが、逆転を伴うような場合(例、変装したオデュッセウスの足を洗う侍女がかつての乳母で... 2019.05.15芸術/メディア
芸術/メディアアリストテレスの『詩学』(2)~第十五章迄 (1)のつづき 第九章、詩(創作)と歴史の違い、その普遍性、驚きの要素 詩人(創作家)は、歴史家のように既に起こった出来事を語るのではなく、起こるであろうような出来事、もっともらしく必然的な仕方で起こる可... 2019.05.12芸術/メディア
芸術/メディアアリストテレスの『詩学』(1)~第八章迄 ※本書は『詩学』というタイトルですが、内容は悲劇論、特にソポクレスの『オイディプス王』論であるため、事前にあらすじ(wikipedia)だけでも読んでおいて下さい。 第一章、詩作と再現、再現の媒体 詩作(創作)は... 2019.05.09芸術/メディア
芸術/メディアプロップの『昔話の形態学』 形態学と構造主義 ここでいう「形態学」とは、概ね各個体が持つ形態の多様性の中から、それらに共通する基本的な原型のようなものを抽出し、すべての個体をその原型のメタモルフォーゼ(変形)として考えるものです。 プロップ自身... 2019.05.06芸術/メディア
社会/政治和辻哲郎の『風土』(4)日本の風土 (3)のつづき <第三章、モンスーン的風土の特殊形態、日本> 台風的性格 日本はモンスーン的な受容性と忍従性の中にありながら、日本的な特徴である「台風的性格」を持っています。 他の地域にお... 2019.04.30社会/政治
社会/政治和辻哲郎の『風土』(3)風土の類型 (2)のつづき <第二章、三つの類型> 風土の類型 和辻は風土の類型として三つのもの「モンスーン」「砂漠」「牧場」を挙げます。 さらにモンスーンの詳細として中国と日本を考察します(字数の都... 2019.04.27社会/政治
哲学/思想和辻哲郎の『風土』(2)人間の理論 (1)のつづき <第一章、風土の基礎理論~第二節、人間存在の風土的規定> 人間存在の二重性 風土という現象において人間は己を見出すわけですが、今度はその人間に焦点を当て、考察します。 ... 2019.04.24哲学/思想社会/政治
哲学/思想和辻哲郎の『風土』(1)風土の理論 <第一章、風土の基礎理論~第一節、風土の現象> 風土の概念 ここでいう「風土」というのは、その土地の気候、気象、地質、地形、景観などの総称であり、人間を取り巻く環境や自然全般を指します。 普通に「自然」... 2019.04.21哲学/思想社会/政治
芸術/メディアグリーンバーグのメディウム・スペシフィシティ ※能書き不要な方は見出し6からお読みください。 語の意味 「メディウムスペシフィシティ(媒体特殊性)」とは、その媒体の本質的な特性を示す概念です。 メディウム(ミディアム、medium)は、なんらかのものの間にある中間項として、そ... 2019.04.15芸術/メディア
宗教/倫理ルターの『キリスト者の自由』(かんたん版) 背景 16世紀にローマ・カトリック教会で起きたキリスト教改革運動の代表となる者がマルティン・ルターです。 ローマ・カトリック教会は、教皇を頂点とした中央集権的な教会組織のヒエラルキーによって、キリスト教界を合理的に統率します。 しかし... 2019.04.13宗教/倫理
宗教/倫理ルターの『キリスト者の自由』 一、 キリスト者とは何であり、彼らにキリストが与えた自由とは何か。 「キリスト者は全てもののも上に立つ自由な主人であり、何人にも従属しない」 「キリスト者は全てものに奉仕する従僕であり、何人にも従属する」 この二原則はパウロの論述か... 2019.04.06宗教/倫理
人生/一般スマイルズの『自助論』 はじめに 本書は成功者の偉人伝と、それを事例として導き出した成功のための一般則(理論)の、二つの文章から構成されています。 本頁では後者の理論にスポットをあてているため、全十三章のうち、本質的な理解にあまり影響が無いと判断したいくつかの... 2019.03.24人生/一般
社会/政治シラーの遊戯論と美的社会 美の定義 シラーにとって美の定義とは、「現象における自由」です。 現れにおいて自由な姿をしているものが、私たちに美と観じられるということです。 対象である自然(ネイチャー)が自然(ナチュラル)にその自在性を現わすとき、それは自由な戯れ... 2019.03.21社会/政治芸術/メディア
心理/精神マルクーゼの『エロス的文明』 <第一部、現実原則の支配の下に> 文化とは性欲望の抑圧 フロイトは、人間の文化というものが、人間の自然(本能的)に持っている欲望(主に性的なもの)を抑圧することによって生ずるものだと言います。 もし、本能のままに人間が生きれば、そ... 2019.03.15心理/精神社会/政治
社会/政治アーノルドの『教養と無秩序』 社会の三つの階級 まず、アーノルドは当時のイギリス社会を三つの階級とその俗称とに分けます(本書は1869年刊行)。 1、「野蛮人である貴族階級」、頑固で愚鈍であり、領地で狩猟と野外活動にふける野蛮人のような人々。... 2019.03.12社会/政治