樽の中のネコデゲス

人生/一般

自己責任とは何か

はじめに 最近、「自己責任」という言葉が流行っています。 しかし、この言葉が使われる時、たいてい何か矛盾した文脈で使われており、強い違和感を覚えます。 そこで、この言葉とその違和感の原因について考えてみたいと思います。 自由...
人生/一般

キューブラー=ロスの『死ぬ瞬間』

概要 人間は死ぬ瞬間に意識を失うので「死」を経験することができず、他人の死を通しての想像や、睡眠とのアナロジーなどによって間接的にとらえるしかありません。 これは古代ギリシャの時代から言われていることです。 ですから、現実的な「死」と...
哲学/思想

デカルトの『情念論』(3)第二部・下

(2)のつづき 91~95、六つの基本情念「喜び」と「悲しみ」 「喜び」は快い情動で、精神における善の基本となるものです。 精神が善から受けるもの(結果)は喜びであり、喜びのないものは善とは言えません。 「悲しみ」は不快...
哲学/思想

デカルトの『情念論』(2)第二部・上

(1)のつづき 第二部、諸情念の枚挙と順序立て、および六つの基本情念 51、 情念は、精神(意志)の活動、身体の状態(により生じる脳内の諸印象)、そして基本的にそれらが関わる感覚の対象(感覚される事物)によって、引き起...
哲学/思想

デカルトの『情念論』(1)第一部

概略 第一部は分かりにくいので、先に簡単にまとめておきます。 先ず、精神には能動的なもの(A)と受動的なもの(B)があり、それぞれの対象が非物質的か(1)と物質的か(2)により、大きく四つに分かれます。(A1、A2、P1、P2) ...
哲学/思想

デカルトの『方法序説』『省察』(かんたん版)

妥協なき探究者 非常に優秀な学徒であったデカルトは、真理の探究のために様々な書物を読みあさります。 しかし、当時の人文学(書物、文字による学問)の知識を極めつくした先にあったのは、学者によってただそれぞれ言うことが違うだけの、混沌とした...
哲学/思想

デカルトの『省察』(2)第三省察

(1)のつづき 第三省察、神の存在証明 こうして私は、私に考えうる限り確実なものへと、辿り着きました。 しかし、まだ気がかりなことがひとつ残っています。 私は今までの経験で、まったく確実で明白だと思っていたものが、後...
哲学/思想

デカルトの『省察』(1)第一、第二省察

はじめに 本書の正確なタイトルは、『第一哲学についての省察、神の存在および人間の精神と身体との区別が証明される』です。 神の存在証明、および人間の精神と身体は区別されるべき実体であることの論証を行います。 六つの省察に分か...
哲学/思想

デカルトの『方法序説』

はじめに 本書の正式なタイトルは、『著者の理性を正しく導き、もろもろの学問において真理を求めるための方法の序説、なおこの方法の試みなる屈折光学、気象学および幾何学』(落合太郎訳)です。 要は科学論文(屈折光学、気象学、幾何学)の序文にあ...
芸術/メディア

バラージュの『映画の理論』(5)

(4)のつづき <第二部> 第十三章、映画形式の問題/第十四章、アバンギャルドの形式主義 映画の本質的表現 第一部で明らかにしたのは、映画芸術が独自に獲得した表現方法についてです。 ...
芸術/メディア

バラージュの『映画の理論』(4)

(3)のつづき 第十章、編集 モンタージュ 勿論、前章で述べた視点(ショット、部分)の力は、それを取り巻くコンテクスト(全体)に拠ってのみ、意味を持ちます。 絵の中の一筆の色面、音楽の一つの旋律、...
人生/一般

アランの『幸福論』(7)

(6)のつづき 八十二、八十三、八十四、礼儀の力 礼儀というものは、乱暴な情念を鎮めるための体操です。 せっかく与えられたこの短い人生という時を、くだらない情念のせいで無駄にしないための技術です。 礼儀正...
人生/一般

アランの『幸福論』(6)

(5)のつづき 七十二、ロボットたちの口論 普通、私たちの発する言葉には、意味があるものだと考えています。 その人の心にある考えを言葉によって口にするものだ、と。 しかし、大半の言葉はそうではなく、それは何の...
人生/一般

アランの『幸福論』(5)

(4)のつづき 五十五、言葉は状況を作る 環境が知らず知らずのうちにその人の行動を規定するように、言葉も同じ作用を持ちます。 窓のない、薄暗い電灯の、コンクリートで冷えた空間内に居ると、人の心も閉鎖的で、暗...
人生/一般

アランの『幸福論』(4)

(3)のつづき 四十二、四十四、本当の幸福 人間は苦しみを嫌うものだと思われ、そして、苦しみこそが不幸だと思われています。 しかし、そうではありません。 例えば、重い荷を背負って山を登らされる奴隷の苦しみ...
心理/精神

スキナーの言語行動

※本項を読まれる前に、必ず『スキナーの心理学』の前半部に目を通しておいて下さい。 言語の分析 行動に伴う(随伴する)環境の変化「行動随伴性」によって、人間行動を説明しようと言うのが、スキナーの心理学(行動分析学)の基本で...
人生/一般

アランの『幸福論』(3)

(2)のつづき 二十七、想像に負かされる人達 どんな仕事も、小さな作業の積み重ねによって達成されます。 私たちは大きな仕事を目の前にした時、それに必要な膨大な工程や物や労力を想像し、それに押しつぶされ、諦めてし...
人生/一般

アランの『幸福論』(かんたん版)

はじめに オプティミスト(楽観主義者)として有名なアランの『幸福論』をはじめとしたプロポ(哲学的断章)は、具体的で非常に分かりやすい言葉で書かれているはずなのですが、内容として何を言っているのかよく分からないことが多々あります...
人生/一般

アランの『幸福論』(2)

(1)のつづき 十二、身体から心を制御する(その一) 動物と違って人間には、思考と情念と言うものが存在します。 その分、人は、調子を崩しやすいのです。 急な坂道があったとします。 馬は文句も言わず、ただ...
人生/一般

恐れとは何か

恐れの原理 「恐れ」の本質的あるいは原理的な意味を定義付けるとしたら、「未来に対するバッドな予測(バッドな未来の想像)」となるでしょう。 そういう意味での対義語は期待「未来に対するグッドな予測(グッドな未来の想像)」です。 ...
人生/一般

アランの『幸福論』(1)

はじめに 文章が分かりやすすぎてむしろ分かりにくいアランの『幸福論』を、適度に抽象化して分かりやすくしようというのが、本項の目的です。 プロポの書かれた文脈(天声人語のような時節性)および文学的な要素は完全に無視し、人生哲学...
心理/精神

エリスの論理療法(論理情動行動療法)

※抽象的で分かりにくい場合は、先に一番下の見出しの「具体例」から読んでください。 ABC理論 アルバート・エリスの生み出した心理療法である「論理療法(あるいは論理情動行動療法)」の基礎となるのが、「ABC理論」です。 「A」は「出...
心理/精神

行動主義心理学とは何か(1)古典的条件付け

古典的条件付け これは有名なパブロフの犬の実験を基にして生まれた理論です(この発展が次項で述べるスキナーのオペラント条件付けです)。 イワン・パブロフは高名な生理学者です。 本来は消化線の研究として観察されていた犬の唾液分...
芸術/メディア

バラージュの『映画の理論』(3)

(2)のつづき 第九章、変化する視点 映画における世界観 演劇や絵画の場合は視点は固定され、ひつとの遠近法において眺められるだけです。 それに対し、映画は視点を自由に変化させることができ、映画作家...
人生/一般

優しさとは何か

優しさの語源 「優しい」という言葉の語源「やさし (優し・恥し)」の意味は、「痩せるほどつらい、肩身が狭い、気恥ずかしい、慎み深い、優美だ、しとやかだ、おとなしい、けなげだ」などという状態を指す形容詞です。 さらに言えば、痩...
哲学/思想

真木悠介の『時間の比較社会学』

<序章、時間意識と社会構造> 第一節、時間のニヒリズム 一般に私たちは死に対する恐怖、永遠の時間に対する短き生に虚無を感じています。 死あるがゆえの生の虚しさは、決して避けることの出来ない真理であると思われてい...
芸術/メディア

バラージュの『映画の理論』(2)

(1)のつづき 第五章、視覚的人間 印刷術の発明によって、人間の表情や身振りなどの視覚情報によるメッセージの伝達方法は廃れていきます。 見る精神は読む精神となり、視覚の文化は概念の文化へと変容します。 それに...
芸術/メディア

バラージュの『映画の理論』(1)

<第一部> 第一章、理論のススメ 映画は他の芸術よりも大衆の心を動かす強い力を持ちます。 抗することのできない自然力に対するために自然科学が生じたように、映画のその強い力に対するためにそれを理論的に研究せねばな...
芸術/メディア

光とは何か

その一、明暗 1、 初めに世界があった。しかし、何にも存在しない暗黒の宇宙です。 2、 神様は何かモノを創ろうとして、とりあえず白いボールを創りました。 しかし、真っ暗で何も見えません。 3、 ...
哲学/思想

三木清の『パスカルにおける人間の研究』(3)賭け

(2)のつづき <第二章、賭け> 第一節 人間は関心によって絶えず運動する存在であり、それは常に途上にある求め続ける存在です。 途上である限り、必然的に「何処から来て何処へ行くのか」と反省的に訊ね...
哲学/思想

仏教哲学とは何か(4)今を生きる

(3)のつづき 今とは何か 仏教では「今を生きる」ということをしきりに説きます。 今この瞬間、この時こそが実在であり、未来や過去は想像によって生み出された煩いの種でしかないと。 しかし、「瞬間」とは一体なんで...
哲学/思想

三木清の『パスカルにおける人間の研究』(2)人間の分析・下

(1)のつづき 尉戯による世界への堕落は、同時に生が想像世界へと堕落することを意味します。 尉戯の先には常に想像によって作られた的があり、それに対し情熱を燃やし欲望を向けます。 「われわれは、自分のなか、自分自身の...
その他

世界名作まんが劇場

はじめに 古典や名著のエッセンスを分かりやすく伝えることが、当サイトの目的です。 しかし、思想のような抽象的なものを言語によってさらに抽象化してまとめることはある程度可能であっても、文学の大半を占める人間の感情や美的な情緒を主題とし...
哲学/思想

三木清の『パスカルにおける人間の研究』(1)人間の分析・上

※これはパスカルについて書かれた本というより、パスカルを介したハイデガー入門(ハイデガー哲学で解釈したパスカル)です。 <第一章、人間の分析> 第一節 パスカルの思想の主題となるものは人間です。 人間と言...
哲学/思想

仏教哲学とは何か(3)諦観と安心

(2)のつづき 「ありがとう」と「おかげさま」 前項までで、一応、原理的なことは説明し終えましたが、抽象的で少し分かりにくかったと思います。 ここからは日常経験やマンガや流行歌などによって、それらをもっと具体的...