樽の中のネコデゲス

未整理

プラトンの『ソクラテスの弁明』

はじめに 紀元前399年、ソクラテスは告発され処刑されます。 ソクラテスの新しい思想に脅威を感じた保守派の有力政治家アニュトス、およびその取り巻き(詩人メレトス、弁論家リュコン)によって起こされたものです。 準備された告発の内容は、ソ...
哲学/思想

ニーチェの『道徳の系譜』第二論文~罪と罰、良心と負い目

<第二論文「罪と罰、良心と負い目」> 一、忘却力と記憶力 人間において「忘却」は、非常に能動的な意味をもっています。 それは意識の扉、門番のようなものであり、意識が落ち着いて仕事(高度な機能)をなすための余地と余裕を与えるものです。 ...
哲学/思想

ニーチェの『道徳の系譜』第一論文~よいと悪い

<第一論文、よいと悪い> 二、イギリス心理学者による考察 先行する道徳の歴史家たちには、歴史的精神が欠けており、本質的に非歴史的に考えます。 彼等(イギリスの心理学者)は言います。 「非利己的行為の恩恵に与った人々の側から“よい”と...
人生/一般

人生問題

※人生における日常的な問題を考えるコーナーです。トップページの目次が長くなりすぎたので分離しました。 問題意識とは何か 🍀 自己責任とは何か 🍀 差別とは何か 🍀 ...
人生/一般

運命とは何か

運命は変えられるのか ここで言う「運命」とは、「自由意志」の対概念としてのものです。 「自由意志(以下、意志)」が、自分の意志的な決断による選択の自由を指すなら、「運命」は、あらかじめ自分のなす選択が自分の意志以外のものに強制的に決めら...
哲学/思想

ショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』(完全版)

※大著なので暇な時にちょびちょび書きすすめています。 1. 「世界は私の表象である」 経験の形式において最も根本的なものは、主観である私が客観である事物を表象(感覚された対象、心象、想像など私の心に映っている事物像のこと)...
哲学/思想

ショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』

カントの「物自体」と「現象」としての世界 あらゆる生物は、自己の持って生まれた認識機能や知覚機能の枠内でしか、世界をとらえられません。 世界に色があるのは眼(色覚)のある動物にっとてだけであり、世界に音があるのは耳のある動物にとって...
心理/精神

アーロン・ベックの『認知療法』(1)理論

<第一章、常識とその彼岸> 患者のジレンマ 精神科の歴史においては、普遍的に共有されるひとつの学説はなく、様々な学派が相争う形になっています。 それは理論的妥当性による争いというより、創始者のカリスマ性やドクマティックな教説による、排...
経済/ビジネス

パーキンソンの『パーキンソンの法則』

仕事と時間の関係 仕事の時間に対する需要(ある仕事を為すために必要な時間量)と、時間の供給量に論理的な関係はありません。 需要は、供給された時間いっぱいにまで膨れ上がる風船のようなものとなります。 仕事の実行のために必要な時間量は計算...
人生/一般

デシの『人を伸ばす力』(かんたん版)

概要 人間の動機には、「内発的動機づけ」と「外発的動機づけ」という二つのものがあります。 動機づけとは、いわゆるモチベーションのことです。 たとえば、好きでランニングをするランナーは、内的な満足のために「内発的動機づけ」で走り、体育で...
人生/一般

スマイルズの『自助論』(かんたん版)

第一章、自助の精神 天は自ら助くる者を助く。 援助は人を弱くし、自立の精神を挫き、自立の欲求すらなくします。 自分で自分を助ける自助の精神こそ、人間を真に助けるものです。 多くの人は自分の力を信じず、国家(国民国家)に頼ろう...
人生/一般

九鬼周造の『「いき」の構造』(かんたん版)

言葉は歴史と文化の反映 言葉というものには、その国の文化と歴史が刻み込まれています。 ひとつの言葉の中には、どうしても他の国の言葉に翻訳できない特殊な意味やつながりが存在しています。 例えば、仏教国であり自然災害国である日本におい...
芸術/メディア

九鬼周造の『「いき」の構造』(通常版)

<第一章、序説> 言語とはその民族の存在の軌跡 言語と民族というものは、密接に関連しています。 ある言語およびその意味内容には、その民族の過去の在り様から現在の在り様までの変遷が記録されています。 使用される言語の中に、その民族の歴...
人生/一般

共感とは何か

共感の条件 管理者(親や教師や上司や先輩など)は、とかく同情や共感というものを語りたがります。 他人の気持ちを理解し行動することが社会性の基礎であり、社会の成員として生きる以上は他人に共感できるように成れ、という訳です。 しかし、...
社会/政治

アンダーソンの『想像の共同体』(2)歴史

(1)のつづき <第四章、クレオールの先駆者たち> アメリカ大陸という特殊な場所 本章では、言語を要因としないナショナリズムとして、アメリカ諸国家について語られます。 言語においては結びついているはずの人々が、何を因子としてその国の...
社会/政治

アンダーソンの『想像の共同体』(1)理論

<はじめに> 本書のもつ意味 メディアによる人間への影響というものを考え抜いた人にマクルーハンという思想家がいます。 メディアと言っても広義のもので、車や住居なども含め、人と人をつなぐもの(中間物、メディウム、メディア)全般についての...
人生/一般

ラッペの『小さな惑星の緑の食卓』

はじめに ヴィーガニズムやベジタリアニズムの主な動機となるものは、1.健康・栄養面、2.倫理・宗教面、3.政治・経済面の三つです。 特に日本は神道および仏教の国なので、自然の命を重んずるという倫理的な側面が強く押し出される傾向にあります...
哲学/思想

アウグスティヌスの『告白』(2)時間論

(1)のつづき <第十一巻、時間> 第十四章、時間の本質 「過去」とはもはや存在しないもの、「未来」とは未だ存在しないものです。 しかし、だからといって「現在」が存在するという訳ではありません。 もし現在が常に存在し、過去へと移り...
哲学/思想

アウグスティヌスの『告白』(1)記憶論

はじめに 本書前半部(一巻から九巻)では、アウグスティヌスの自伝が語られ、後半(十巻から十三巻)では、哲学(神学)的な論述に入ります。 特に第十巻での心(記憶)の構造、第十一巻での時間論は後世の思想家達に強い影響を与えた重要な考察です。...
人生/一般

自助とは何か

自助の精神 自助の精神を述べる有名なことわざとして、「天(神)は自ら助くる者を助く」というものがあります。 古代ギリシャから伝わるものですが、特に日本においてこの言葉が広く使われるようになったのは、明治日本の近代化において欧米的な主体性...
人生/一般

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(かんたん版)

幸福とは人間行動の究極目的となるもの 行動というものには、基本的にある目的があります。 そして、その目的というものは、もっと大きな目的のための手段になっています。 さらに、その大きな目的は、もっと大きな目的のための手段になっており、こ...
哲学/思想

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(5)幸福論補足

(4)のつづき <第十巻> 第六章、幸福論まとめ 幸福とは、「ヘクシス(状態、性向)」ではなく、「エネルゲイア(活動)」です。 眠ったままの人は、いかに幸福な状態にあっても幸福ではありえないように。 活動と言っても、他のもののため...
人生/一般

未来とは何か

時間の定義 事物の何であるかは、「定義」次第です。 定義とは、それが何であるか(本質)を述べるものです。 ある事物の定義は、時代や場所によって(さらに言えば個人によって)異なるため、たとえ同じ一つのものであっても、複数の定義を持ち、様...
人生/一般

アリストテレスの『友愛論』(2)

(1)のつづき <第九巻、愛について(続)> 第一章、 ―― 第二章、 ―― 第三章、愛の解消 愛した時とは、異なる人間になった相手に対して、そのまま愛すべきかどうかという問題があります。 先にも述べたように...
人生/一般

アリストテレスの『友愛論』(1)

※本項は『ニコマコス倫理学』第八巻、第九巻の「友愛論」を単独で扱ったものです。そのままでも読めますが、一巻から読んでおくと、より理解が深まります。 <第八巻、愛について> 第一章、愛の必要性 「愛」はアレテー(徳、卓越性、器量)の一種...
哲学/思想

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(4)正義論

(3)のつづき <第五巻>正義 第一章、正義一般 正義とは、どのような中庸(中間)であるかを考察します。 アレテー(器量、卓越性、徳)としての「正義」とは、正しい行為をし、正しいことを望むヘクシス(状態、性向)のことであり、「不...
哲学/思想

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(3)責任論

(2)のつづき <第三巻>責任 第一章、自発と非自発 行為には自発的(本意)なものと非自発的(不本意)なものがあり、これは行為者を評価する際や裁く際に重要な問題になります。 一般的には、「強制」や「無知」によってなされる行為は非自発...
哲学/思想

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(2)中庸論

(1)のつづき <第二巻>中庸 第一章、人間は習慣の産物である 以上のように、人間のアレテー(器量、卓越性、徳)には二種類あります。 ひとつは、思考の働きとしての知性的アレテーであり、これを成長させるのは主に教育、学びであり、時間と...
哲学/思想

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(1)幸福論

※ダッシュ記号(―)によって省略されている章は、内容が他と重複しているもの、あるいは本書の大意を理解するのに重要でないものと判断し、割愛したものです。 <第一巻>幸福 第一章、目的は別の目的の手段である 学問や技術、行為や選択など、人...
心理/精神

ワイナーの原因帰属理論

はじめに ワイナー(Bernard Weiner)の原因帰属理論は先行の二つの理論を基礎にしています。 一つは「期待価値理論」、もう一つは「帰属理論」です。 簡単に解説しておきます(知っている方は飛ばしてください)。 「期待価値理論...
人生/一般

才能とは何か

才能と努力 ここで言う「才能」とは、辞書を引いて一番最初に出てくる意味、“生まれ持った能力”のことを指します。 これと対比的によく使われるのは「努力」です。 才能は先天的なものであり、努力は後天的なものです。 自己意識(主体)が芽生...
哲学/思想

サルトルの『存在と無』(5)第四部、自由

(4)のつづき <第四部、自由> 行動の条件 行動の本質は志向的であるということです。 欠如(満月と半月)の認知と、それを充たすための意識的な企てを、実行したものです。 たばこの不始末で火事を起こしても行動したことにはなりませんが...
哲学/思想

サルトルの『存在と無』(4)第三部、対他存在

(3)のつづき <第三部、対他存在> 対他存在とは 人間には、「対自存在」とは異なる、もう一つ別の在り方(存在類型)があります。 それが「対他存在」です。 「対他」とは、「他者にとって」「他者に対して」という意味です。 例えば、...
哲学/思想

サルトルの『存在と無』(3)第二部、対自存在

(2)のつづき <第二部、対自存在> 対自の事実性 即自存在はそれ自体で完全に充実しており、空虚や無が入り込む余地は一切ありません。 それに対し、意識(対自存在)は存在に裂け目を入れ、距離を置き、自ら(即自としての自己)に対峙し、存...
哲学/思想

サルトルの『存在と無』(2)第一部、無の問題

(1)のつづき <第一部、無の問題> 世界に無をもたらす者としての人間 世界というもの自体には、「無」などというものの余地はなく、存在に満ち、完全に充足しています(即自存在)。 「無」というものを生じさせるのは、人間の意識(対自存在...