哲学/思想フーコーの『言葉と物』(2)古典主義時代のエピステーメー (1)のつづき 古典主義時代のエピステーメー 古典主義時代のエピステーメーは、同一性と相違性をベースとした比較によって、事物の秩序を形成することです。 類似のエピステーメーは事物が他の事物と連結する入れ子状の立... 2018.12.22哲学/思想
哲学/思想フーコーの『言葉と物』(1)中世のエピステーメー エピステーメー(思考の枠組み) 世界の思想史を概観すると、ある場所、ある時代内において共通する思考の枠組みというものがあります。 私は自由に思考し行動する主体的人間だと思い込んでいますが、実際は私の考えは事前にその場所その時... 2018.12.20哲学/思想
社会/政治フーコーの『監獄の誕生』(2)パノプティコン (1)のつづき 規律(ディシプリン) この監獄システムの本質である規格化を支える管理の方法が「ディシプリン(規律)」です。 ディシプリンとは、身体を詳細に管理することにより、従順な人間(=機械)を作り出す技術で... 2018.12.13社会/政治
社会/政治フーコーの『監獄の誕生』(1)処罰の歴史 近代化される処罰の形式 本書においてまず、近代的な監獄制度が誕生するまでの三つの処罰の形式が描かれます。 第一に君主権力における身体刑、第二に社会的に一般化される処罰、第三に管理装置としての監獄制です。 以下、それ... 2018.12.10社会/政治
人生/一般自由とは何か 自由意志 哲学においてもっとも雄弁に語られる自由は、サルトルに代表される実存主義的自由です。 古くはローマ皇帝マルクス・アウレリウスの指導理性から、スティーブン・コヴィーのような現代のハウツー本まで、その自由は変わることなく... 2018.12.04人生/一般
哲学/思想バークリーの『人知原理論』序論 ※訳語は主に『人知原理論』宮武昭訳 ちくま学芸文庫 によります。 序論(1~25節) 1、人は哲学的に深く思惟すればするほど、困難と矛盾に引きこまれ、懐疑主義におちいる。 2、有限な人間精神で無限な世界を理解しよう... 2018.12.01哲学/思想
心理/精神フーコーの『狂気の歴史』心理学の誕生 知の考古学者 私たちにとって当たり前すぎて省みられることすらないものの隠れた前提や、その生成の歴史を明らかにすることが、フーコーの目的です。 考古学者のような手際で、隠れたものを推理し、今は見えない過去を発掘していきます。 ... 2018.11.27心理/精神社会/政治
人生/一般スティーブン・コヴィーの『七つの習慣』個人編 <七つの習慣とは> 物の観方を変える 基本的にその人のあり方や世界のあり方は、その人自身の物の見方(観点や思考の枠組)に事前に既定されています。 コップに半分入ったお酒を、「まだ半分もある」とポジティブにとらえ酒宴を楽しめる人と、「も... 2018.10.26人生/一般経済/ビジネス
哲学/思想ニーチェの系譜学 真理と歴史の正統性 普通、事物には正しい起源(はじまり・出自)や本質(何であるか・本性)が存在し、それを理性により探究するのが学問の使命であり、そこで発見されるものが真理であると考えられています。 あらゆる事物が私たちの前に... 2018.10.23哲学/思想
哲学/思想メルロ=ポンティの『幼児の対人関係』(3)人格特性 (2)のつづき ねたみと共感 幼児に特有の人格特性も、この自他の癒合性から自他の分別を伴う客観空間の確立までの成長途上において見られる現象です。 「ねたみ」は、本質的に自分と他人の混同です。 他人が到達し... 2018.10.12哲学/思想
哲学/思想メルロ=ポンティの『幼児の対人関係』(2)鏡の中の世界 (1)のつづき 鏡像の実在性 鏡像という象徴を通して客観空間というものを確立しても、自他の癒着した全体性の空間(身体図式)は破棄されるわけではありません。 それは客観空間という図を浮かび上がらせる地として、私た... 2018.09.29哲学/思想
哲学/思想メルロ=ポンティの『幼児の対人関係』(1)身体図式 幼児における他人知覚 古典的な心理学においては、心的作用や感覚が、当人のみに与えられた個人的なものだと考えられていました。 私の本心はあなたには分からないし、私が感覚している赤とあなたが感覚している赤が同じものであると測る方... 2018.09.25哲学/思想
哲学/思想実存主義とは何か 実存の定義 「実存」とは現実存在や事実存在の省略です。 哲学史的に「事実存在」というのは「本質存在」の対概念として使われます。 「事実存在」とは、現実の事実としてリアルに存在するもの「~が・ある」。 「本質存在」とは、それがどうい... 2018.09.22哲学/思想
哲学/思想キルケゴールの『死にいたる病』 本書のねらい 日常を無反省に生きる人々にその絶望の状態を気付かせ、キリスト者への目覚め(希望)をうながすために書かれたものです。 本書の下巻として構想された『キリスト教の修練』につなげるための準備として、徹底的な現状把握をおこないます。... 2018.09.17哲学/思想宗教/倫理
哲学/思想スピノザの『エチカ(倫理学)』(4)倫理 (3)のつづき 他者とつながるその倫理 一般的な倫理では、受動感情や欲望を理性によって無きものにし解決しようとするわけですが、そもそもそんなことは元から無理なのです。 人間は常に環境の中で生きその影響を受ける受... 2018.09.13哲学/思想
哲学/思想スピノザの『エチカ(倫理学)』(3)感情 (2)のつづき 感情の三要素 ものが動くことや、存在が自己の存在を維持しようと努めることなど、世界を動かしている根源的な活動力を、スピノザは「コナトゥス」と名付けます。 「存在そのもの」という概念が、それ以上遡... 2018.09.06哲学/思想
哲学/思想スピノザの『エチカ(倫理学)』(2)精神と認識 (1)のつづき 真理観 現実のすべてが必然の連鎖であるのなら、平行論的に、それに伴う観念もすべて真なる観念となります。 では、偽なる観念とは、一体何なのでしょうか。 それは人間精神が、不可能なもの(ありえない... 2018.09.03哲学/思想
芸術/メディア創作におけるオリジナルとは何か 問題設定 本頁では、創作活動に必ずついてまわる、オリジナルとコピーの問題を扱います。 創作においては独創的であることやオリジナルであることに大きな価値が置かれるわけですが、果たしてそれは本当に大切なことなのでしょうか。 また、オリジナ... 2018.08.13芸術/メディア
経済/ビジネスドラッカーの『イノベーションと起業家精神』四つの戦略 第一部、七つの機会編のつづき 四つの起業家戦略 本頁ではドラッカーの提示した「四つの起業家戦略(戦術)」を紹介します。 一、総力による攻撃、二、弱みへの攻撃(創造的模倣・起業家柔道)、三、ニッチの占拠、四、価値の創造、です。 あくま... 2018.07.02経済/ビジネス
経済/ビジネスドラッカーの『イノベーションと起業家精神』七つの機会 イノベーションとは何か ドラッカーの言うイノベーションとは、単なる「素材」に有用性や富を創造する能力を与え、それを「資源」にする創造的な行為(革新)を指します。 ボーキサイトという厄介な素材に対し、人間が利用の方法を見つけ経済的な価値を... 2018.06.23経済/ビジネス
哲学/思想スピノザの『エチカ(倫理学)』(1)神即自然 神即自然 「神即自然」というスピノザ哲学の有名なフレーズは、彼の汎神論を言い表わしたものです。 汎神論とは事物の汎(すべて)が神であるという考え方です。 現実を超越した場所に人格神がいて、その神が自由意志によってこ... 2018.05.24哲学/思想
人生/一般自信とは何か 自信の定義 「自信」というものが語られる際、多くの場合それは自分を信じる信じない以前の問題を意味しています。 「信じる」ということは、そもそもその選択の前に「疑い」がなければ生じないものです。 例えば、私の子供が私の子供である事はたん... 2018.05.07人生/一般
人生/一般夢とは何か 夢の裏側を見る 私たちは一般に夢をもつことがよい人生を送るための方法だと考えています。 しかし、どんなことでも一長一短があるはずなのですが、あまり夢をもつということの短所や、反対の夢をもたないということの長所を挙げる人はいません。 本... 2018.04.30人生/一般
人生/一般努力とは何か はじめに 努力は報われないとよく言われますが、たぶん努力は報われます。 努力が報われないと感じるのは、努力の意味を間違えて捉えてしまっているからです。 生産性のない無意味な根性論や努力の美化も、そういう捉え違いから... 2018.04.29人生/一般
哲学/思想ホルクハイマーの啓蒙の弁証法(2) (1)のつづき 神話化する啓蒙 啓蒙、伝統的理論、道具的理性と巡りましたが、ここでこれらに共通する構造のイメージが何かに似ていることに気付きます。 それは神話です。 天という頂点の視座から階層化されたヒエラル... 2018.04.23哲学/思想社会/政治
哲学/思想ホルクハイマーの啓蒙の弁証法(1) ※『啓蒙の弁証法』という本の要約ではなく、啓蒙の弁証法という概念の解説です。 論点 「なにゆえに人間は、真に人間らしい状態へ進む代わりに、一種の新しい野蛮状態へ陥っていくのか」(引用) 啓蒙という蒙(くら)きを啓(あき... 2018.04.21哲学/思想社会/政治
哲学/思想西田幾多郎の『善の研究』 主客未分の純粋経験 デカルトが既存の一切のものを徹底的に疑って疑いようのない直接的な知識「コギト」を根本原理・前提として哲学を構築したように、西田はそこに「純粋経験」を置きます。 「純粋経験」とは、あるがままの直接経験の事実... 2018.03.27哲学/思想宗教/倫理
科学/自然演繹、帰納とは何か 演繹 演繹とは、基本的な推論の形式です。 いくつかの前提から結果(結論)を導き出す、いわば「下り」の推論です。 形式的には、 前提「AならばB」「Aである」→結果「よってBである」 前提「AならばB」「Bでない」→... 2018.03.23科学/自然言語/論理
哲学/思想カントの『純粋理性批判』(2)アンチノミー (1)のつづき アンチノミー アンチノミー(二律背反)とは、相反する二つの命題が矛盾しあいながらも互いに成立している状態です。 一見どちらも正しいが、片方の命題を取るともう片方の命題が成立しないということです。 例え... 2018.03.19哲学/思想
芸術/メディア抽象絵画とは何か 抽象の絵画 一般的な定義としては、具体的で何が描いてあるかよく分かる具象絵画に対する、抽象的で何が描いてあるかよく分からないものが抽象絵画です。 けれどそんな外側だけの表面的な定義では、抽象絵画の何であるかという中身(本質)... 2018.03.06芸術/メディア
科学/自然グルーのパラドックスとは何か グルー色のエメラルド グルーのパラドクスとは、ある法則や命題の正しさを確証するために、データや事例を枚挙してその証拠とするという実証科学的手続き(帰納法)を破綻させるパラドクスです。 私は「すべてのエメラルドはグリーンである」という... 2018.03.03科学/自然
科学/自然ヒュームの因果論 因果 例えば私が買ったばかりのお気に入りの服を着たくて、寒い日にもかかわらず薄着で出かけて風邪をひいたとします。 私は案の定「寒い日に薄着で出たから(原因)、風邪を引いた(結果)」という因果関係としてそれをとらえます。 しかし、健... 2018.03.02科学/自然
哲学/思想レヴィ=ストロースの構造主義(3)野生の思考 (2)のつづき 抽象の科学と具体の科学(野生の思考) 子供の頃、私はロボットのプラモデルを作るのが好きでした。 それには組み立て説明書という、超越的な視点からパーツの意味や用途を規定するアイデアマップ(本質の設計図)のようなも... 2018.03.01哲学/思想
社会/政治ホッブズの『リヴァイアサン』 万人の万人に対する闘争 もし、国家や法というものの存在しない世界であったとしたら、人間は一体どういう状態にあるかという問いからはじまります。 そういう「自然状態」においては、個々バラバラの人間の諸能力に大差はなく、各個人の自己保存と快楽... 2018.02.28社会/政治
芸術/メディア表現主義とは何か 芸術分野においてよく「表現主義」という言葉が使われますが、いまいちそれがどういうものをさすのかよく分かりません。 それに対して「印象主義」といわれると、フランス印象派絵画のキラキラした風景など、多くの人が容易にイメージできます。 ... 2018.02.27芸術/メディア