樽の中のネコデゲス

社会/政治

メイロウィッツの『場所感の喪失』第一部(2)

(1)のつづき 1-3 メディアの変化と役割の変化 社会的な地位というものは情報フローのパターンによって規定されます。 同一の地位にある人達は同じような状況(情報システム)に、異なる地位にある人は異なる状...
社会/政治

メイロウィッツの『場所感の喪失』第一部(1)

1-1 メディアと行動 既存のメディア論の大半は、メッセージ内容を主題としたものであり、各メディア相互の差異やメディア自体が持つ可能性は見落とされています。 メッセージ内容ではなく、それを取り巻く状況や受け手の主体性か...
科学/自然

ユクスキュルの『生物から見た世界』(かんたん版)

生物によって違う感覚機能 生物はそれぞれ独自の感覚機能を持っています。 人間であればいわゆる五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)と呼ばれるものです。 当然、生物によってはその機能の数や種類や質が違い、人間と違って視覚や聴覚の無い生物も...
社会/政治

リースマンの『孤独な群集』三つの社会的性格

性格と社会 社会的性格(キャラクターの意)とは、「イタリア人は陽気、日本人は真面目、アメリカ人は実利的」などと言われるような、その社会の成員が一般的にもつ性格特性を表したものです。 社会的性格は、その社会が必要とする...
芸術/メディア

柄谷行人の『日本近代文学の起源』構成力について

(2)のつづき 構成力について(没理想論争) 一、 日本の近代以前の文学には、何か深みというものが無いように思えます。 しかし、別に江戸時代の人々が深いことを考えていなかったという訳ではあ...
芸術/メディア

柄谷行人の『日本近代文学の起源』告白という制度

(1)のつづき 告白という制度 一、 告白という形式と日本の近代文学の成立は並行します。 告白は告白されるべき「内面」を生じさせます。 告白という形式の文学作品(表現されたもの)と、告白...
芸術/メディア

柄谷行人の『日本近代文学の起源』風景の発見

風景の発見 一、 「文学」という観念は相対的なものであるのですが、その中にいる限りなかなかそれに気付くことができません。 漱石の学んだ英文学の普遍性への疑いは、それが決して経験に先立つアプリオリなもので...
哲学/思想

ニーチェの積極的ニヒリズム

積極的ニヒリズムと消極的ニヒリズム 若い頃のニーチェが心酔したショーペンハウアーの哲学(消極的ニヒリズム)を乗り越えるために持ち出された概念が「積極的ニヒリズム」です。 対決しようとする「消極的ニヒリズム」の病因はプラトンに始まるヨーロ...
哲学/思想

ライプニッツのモナド(かんたん版)

モナドとは何か 物質的な原子というものは、それ以上分割不可能な存在、世界の究極的な構成要素と考えられていました。 しかし、物質が分割不可能なのは、現時点での技術的な限界か定義によるものです。 いかに小さくとも何らかの空間的広がりを持つ...
哲学/思想

ライプニッツのモナド(4)神と善

(3)のつづき 神の本質 では、これらすべてを含む神は、どういうものであるかというと、それは、現実的にあらゆる可能性を含んだ存在であり、かつそこからあらゆる可能な述語(観念)を導出することの出来る存在です...
人生/一般

問題意識とは何か

問題意識 社会に出て働き出すと、職場の先輩や上司は例外なく「問題意識を持て」などと言います。 世界平和や飢えた子供を救うというような大きな問題解決を仕事にする人ならまだしも、私達のような普通の仕事、毎日定食を作ったり、荷物を...
哲学/思想

ライプニッツのモナド(3)モナドと予定調和

(2)のつづき 実体の唯一性 ライプニッツは実体を「非物質的な原子」のようなものとして捉えます。 さらに物理的な原子は相互に均一で限られた数しか存在しないのに対し、ライプニッツのそれは世界中に同じものが...
哲学/思想

ライプニッツのモナド(2)理由律と真理

(1)のつづき 矛盾律(モナドロジー31節) ライプニッツは人間の思考の二つの原理として、「矛盾律(矛盾の原理)」と「充足理由律(理由の原理)」を挙げます。 例えば、命題「この餅は白い」とその否定命...
経済/ビジネス

本田健の『ユダヤ人大富豪の教え』(2)

(1)のつづき 第五の秘訣、セールスの達人になる 人が物を買う理由は、その商品そのものの価値からだけではありません。 その商品の価値だけでは売れない場合は、付加的な価値というものを考える必要があります。...
経済/ビジネス

本田健の『ユダヤ人大富豪の教え』(1)

第一の秘訣、社会の成り立ちを知る 一般人は、お金持ちになるためには、一生懸命はたらくというイメージを持っています。 しかし、報酬額というのは、努力の量や労働の時間が決定するのではなく、「その人が提供したサービスの質と...
哲学/思想

ライプニッツのモナド(1)統覚と微小表象

モナド モナドの定義とは、“部分を持たない単純な実体”です。 ギリシャ語のモナス(一なるもの)を語源とし、モナドロジーは『単子論』とも訳出されています。 単子というと、物理学の原子と似たようなイメージで捉えられてし...
芸術/メディア

想像とは何か

注、本項は以前書いた「オリジナルとは何か」を発展させたもので、内容が重複しています。 現実の本質 SF映画によくあるように、私の全ての記憶を消去されたとします。 そして、私は部屋で目覚めます。 その時、最初に私の眼に映ったものは、「...
芸術/メディア

芸術家(職業)とは何か

食えない芸術家(日本の場合) 「芸術家は食えない」とよく言われます。 プロ(その道一本で食っていける)の芸術家と呼ばれる人も、大半が教えること(教育者)としての収入であり、純粋に自分の作品によるものではありません。 ...
芸術/メディア

デッサンとは何か

はじめに ここで言うデッサンとは、パースの正確なホンモノのような絵のことです。 石膏像で訓練するようないわゆる受験絵のデッサンであり、それを通して絵画における表現と技術の基本的な問題を考察します。 表現...
心理/精神

アドラーの個人心理学(3)

(2)のつづき 共同体感覚を生む三つの要素 以上のような共同体感覚を得るためには、重要な三つの要素があります。 「自己の受容」「他者の信頼」「他者への貢献」です。 まずひとつめの自己受容から説明してい...
心理/精神

アドラーの個人心理学(2)

(1)のつづき 人生の課題 アドラーは明確に治療の目標(精神的健康)となるような人間のあり方を提示します。 それは行動面で社会的に自立しつつ、心理面では自信をもつ(自分を信じる)ことです。 自立は必然...
心理/精神

アドラーの個人心理学(1)

伝統的な目的論 「人間は行動の選択において、常にその人にとって最良の選択をしている。もし、それがその人にとって悪い結果を導くなら、それは無知によるものである」 これはプラトンにはじまるひとつの人間観であり、形を変えな...
芸術/メディア

小野洋子の『グレープフルーツ』(2)

(1)のつづき 一、芸術は想像である ヨーコのアートにおいては、誰でもどこでも手に入るような普通の材料や媒体によって、頭の中にあるアイデアや芸術的な概念を表現することが重要です。 突き詰めれば、水や空気...
芸術/メディア

小野洋子の『グレープフルーツ』(1)

概要 本書は1964年東京で最初に出版され、後に1970年ロンドン、1971年ニューヨーク、そして逆輸入的に日本語完訳版(田川律訳)が1982年東京新書館より出版されました。 作品自体は1955年から描き集められたも...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(4)革命の完成

(3)のつづき 第十一章、革命の不可視化 科学において非常に重要になるのが、教科書という権威ですが、この教科書というものは、革命や危機の混迷を可能な限り目立たないように編集します。 まるで科学が合理的で...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(3)科学革命

(2)のつづき 第八章、危機への反応 科学者は変則性に出会いながらも、既成のパラダイムを放棄しようとはせず、危機を導く反証例を反証と認めたがりません。 一度パラダイムとなった科学理論は、それに変...
経済/ビジネス

マルクスの『資本論』(かんたん版)

例、あるタコ焼き屋にて 私は高校卒業後、たこ焼き屋さんの従業員として働き始めました。 一人で切り盛りできる程度の店で、けっこう自由に楽しく働いています。 平均一日10万円程度の売上げで、材料費や設備、広告費など全て...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(2)危機の科学

(1)のつづき 第五章、パラダイムの優位 ある時期における概念や装置や方法などを理論的にとらえる際、そこに何らかの標準的な説明の仕方が共通して見られます。 それがその専門家集団のパラダイムであり、それは...
社会/政治

マキアヴェリの『君主論』(かんたん版)

<まとめ> 二、 世襲による君主政体の維持は容易である。 伝来の秩序に従い普通に対応する能力があれば問題ない。 三、 新興の君主政体は軍事力によって新しい臣民を獲得するため不安定で、臣民の心を掴めな...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(1)通常科学

第二章、通常科学への道 通常科学とは、ある過去の科学的業績を基礎にして進めていく研究を指し、それは次の科学革命が起こるまで一定期間続きます。 その基礎的な業績となる条件としては、第一に、その業績が他の対立する研究の支...
社会/政治

マキアヴェリの『君主論』(4)その他

(3)のつづき 第二十章、その他、君主が行うべきこと 新しく君主になったものは、臣民の武装を解除してはいけない。 臣民を武装させれば、必然的に臣民は君主の党派となる。 もし、すべての臣民を武装できなか...
社会/政治

マキアヴェリの『君主論』(3)人格論

(2)のつづき 第十五章、君主への賞賛および非難について 臣民や味方に対する君主の態度や統治のあり方はどうあるべきか。 いかに人が生きているかという現実を考慮せずに、いかに人はあるべきかという理想ばかりを追求する既存の...
社会/政治

マキアヴェリの『君主論』(2)政体論・下

(1)のつづき 第八章、極悪非道な手段によって獲得された君主政体 極悪非道、残虐な手段によって君主になった者の生き方を考察してみると、そこに運(幸運)や他力依存の要素がほとんどない。 無数の困難と危機を...
社会/政治

マキアヴェリの『君主論』(1)政体論・上

第一章、君主政体の種類と獲得方法 あらゆる政体は共和政か君主政かどちらかである。 君主政体は、血統による世襲の政体か、新興の政体である。 領土を獲得する方法は、自己の軍備によるか他者の軍備によるか。 また、その獲...
人生/一般

偽善とは何か

偽善という言葉の難しさ 最近、「偽善」という言葉がやたらと使われます。 しかし、多くの場合、意味がない、あるいは適切でない文脈で使われているため、それはまったく生産的でない空虚な言葉になってしまっています。 そこで「偽善」という言葉の...