樽の中のネコデゲス

人生/一般

失敗とは何か

失敗とは 「成功」とは、ある目的に向けた行為によってそれが達成されることです。 「失敗」とは、反対に、その行為が目的を達成できないという事態を指しています。 人間の行為はほぼすべて、ある目的に向けた行為(いわゆる意志的な行為)によって...
人生/一般

災厄とは何か

人生停止スイッチ 長い人生、様々な災厄が降りかかってきます。 もし、アンドロイドのように脇腹のハッチを開ければ生命活動を停止するスイッチがあり、指先ひとつで簡単に人生を停止できたとしたなら、心の繊細な日本人の人口は半分くらいになってしま...
人生/一般

後悔とは何か

なぜ後悔するのか 「後悔」とは後になって悔いることですが、基本的にネガティブな意味で使われます。 ポジティブな場合は「反省」であり、前進や学びのための糧としての悔いとなります。 例えば、過去に為した窃盗を後悔し、謝罪に行き被害弁償すれ...
人生/一般

教養とは何か

善し悪しの基準 基本的の物事に優劣をつけるためには、その評価のためのある特定の基準が必要です。 物事に固定した優劣はなく、基準によって善いものであったり、悪いものであったりします。 そのもの自体はただの素材であり、善いも悪いもありませ...
芸術/メディア

美とは何か

はじめに ここで述べるのは、一番ふつうの「美」についてです。 基本の基としての美で、難しい芸術論ではなく、普通の人向けのものです。 たとえ話 昔、あるお茶の先生が弟子に対し、路地を掃除するよう言い付けました。 そして、綺麗に掃除を...
人生/一般

感情とは何か

感情のメロディー 経験が少ない人の感情は比較的単純なものが多く、例えば、小さな子供の喜怒哀楽には、幼稚園児が叩くカスタネットの単独音のような、聴きとりやすい明快さがあります。 しかし、人は経験を積めば積むほど感情も複雑になり、まるでひと...
人生/一般

真実とは何か

真実なき時代 誰でも簡単に嘘を吐くこと(作ること及び流布すること)が技術的に可能になり、平気で嘘を吐くことが平均的なモラルとなり、反対に誰でも簡単に嘘を暴くことが技術的に可能になり、嘘を暴く暴露趣味で心を満たすことが流行りになっています。...
心理/精神

ラザルスの『ストレスの心理学』(1)認知的評価

第一章、ストレスの概念 ーー 第二章、認知的評価 一節、評価概念の必要性 環境からの刺激に対する人々の解釈は異なり、その反応の仕方には、個人差やグループ差があります。 ある侮辱行為に対し、怒るか、気にしないか、憂鬱になるか等の反応...
人生/一般

幸福とは何か

幸福とは何か 幸福の何であるかは人それぞれなので、「幸福とは何か」などという一般(普遍)的な問いを発しても、答えは出ません。 けれど、幸福を抽出する一般(普遍)的な「方法」はあります。 自分の幸福(人それぞれの幸福)を自分で明確に把握...
哲学/思想

ロックの『市民政府論』(かんたん版)

自然状態 人間は、自然本来の状態においては、完全に自由で、他人の意志ではなく自分の意志で行動を決定し、自分の生命と身体と財産を扱います。 同一クラスの被造物(人類)である人間は、万人が平等な権力、権限を持ち、主従の関係のない状態にありま...
哲学/思想

ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(6)

(5)のつづき 第十七章、簒奪について 197-198 ーー 第十八章、暴政について 199 簒奪は、他人が持つ正当な権利を横取りし、その権力を行使することです。 暴政は、権利を超えて権力を行使することです。 暴政はこの権力...
人生/一般

不安とは何か

不安の意味 ある言葉の意味を考える際、反対の言葉や類似の言葉との比較によって明確にすることが有効です。 「不安」という言葉の対義語は、「安心」です。 第一に不安とは、安心でない不安定な状態を指しています。 「不安」に一番似た...
哲学/思想

ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(5)

(4)のつづき 第十四章、大権について 159 立法権力と執行権力が別の者に委ねられている統治形態では、法の不備を補うために、公益という基本原理に基づき、様々な事柄が執行権力の思慮分別に任されることになります。 法が予見できない事例...
人生/一般

天才とは何か

天才の反対は凡人ではない 多くの場合、「天才」の反対は「凡人(凡才)」だと考えられています。 また、「天才」が、先天的な天賦の才能によって、優れた能力を発揮する者であるのに対し、「秀才」は、凡才が後天的な努力によって優れた能力を獲得した...
人生/一般

怒りとは何か

防衛反応としての怒り 動物を観察すると、基本的に「怒り」とは、生命の危険に対する防衛反応だと理解できます。 ただ、人間は理性(心)を持ったより複雑な動物であり、その情動も心身両面で考察する必要があります。 そして、私的報復を禁じ、代わ...
哲学/思想

ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(4)

(3)のつづき 第十一章、立法権力の範囲について 134 立法権力は政治共同体の最高権力であり、それ以外のいかなる者の命令も、公的に選ばれ任命された立法部の承認なしには、法としての効力も拘束力ももちません。 法律を制定するための絶対...
人生/一般

正直とは何か

正直と嘘 子供の頃は皆、大人に「正直であれ」と言い聞かされます。 しかし、大人になると、「正直者は馬鹿を見る(損をする)」ことが分かり、多くの人が正直であることを止めていきます。 むしろ社会の中で生きていく際に、正直を止めることを推奨...
人生/一般

騙される原因と対処法

はじめに 日常では、「騙された」と主張する人と「騙していない」と主張する人の間の諍いが絶えません。 対立が生じる場所には、何らかの矛盾があると考え、それを明らかにすることが、理性による仲裁方法です。 この「騙される」とは、どういうこと...
人生/一般

名前とは何か

名前=存在 事物の存在というものは、基本的にそれに名前を付けることによってはじめて成立します。 なにかある事物が発見された瞬間、個人の頭の中や公けの文書の中などに、必ずそれは言葉として、何らかの形で記されます。 私が認識する「世界」と...
哲学/思想

ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(3)

(2)のつづき 第八章、政治社会の起源について 95 生来的に自由で平等である人間が自然状態を脱し政治共同体に属するのは、己の合意によってのみであり、同意なしに他者の政治権力に服することはありません。 そして、合意によって結合した一...
哲学/思想

ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(2)

(1)のつづき 第六章、父権について 52 ーー 53 ここでいう「父権」は便宜的な名称で、実質的には母親を含む「親権」のことです。 54 「全ての人間は生まれながらに平等である(二章四節参照)」と述べましたが、言い換...
哲学/思想

ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(1)

はじめに 本書『統治論(統治二論)』は前後編の二論に分かれており、第一論では国王権力の絶対性を聖書解釈によって裏打ちしようとしたフェルマーの王権神授説への反論がなされ、第二論ではそれに代わる人民を中心とした政治的統治について語られます。 ...
人生/一般

継続とは何か

継続は力 「継続は力なり」などとよく言われます。 様々な文脈で言われるので、その意味するところも色々です。 それら色々な意味の中で主だったものについて、少し考えてみたいと思います。 一、単純な意味での継続 多くの人があることを為そ...
社会/政治

ゴッフマンの『行為と演技』(かんたん版)

自己とは社会役割という仮面(ペルソナ=パーソン) 私たちは、他者の情報を基にして、自分の行動を決定しています。 例えば、相手が王様か乞食かによって、対応は相当変化します。 その反対に、私は自分の意図した通りに、他人に動いて欲しいので、...
社会/政治

ゴッフマンの『行為と演技』(3)

(2)のつづき <第五章、役割外のコミュニケーション> 非公式のコミュニケーション 役割を演ずるという公然と伝達されるコミュニケーションの背後には、それと異なり矛盾する、暗黙のコミュニケーションの流れがあります。 公然(公式、表、役...
社会/政治

ゴッフマンの『行為と演技』(2)

(1)のつづき <第二章、チーム> パフォーマンスチーム パフォーマンスは、個人の性格の表出という部分的な機能に注目されやすく、全体が見過ごされています。 例えば、パフォーマンスが職業的役割のみを表出し、個人的性質を覆い隠すことはよ...
社会/政治

ゴッフマンの『行為と演技』(1)

※本書では「役割 role」「役目 part」「役柄 character」と使い分けられていますが、読みやすくするためにすべて「役割(role,part,character)」として記述しています。 <序章、相互行為> 意図的、...
哲学/思想

パノフスキーの『<象徴形式>としての遠近法』

はじめに 小学一年生のメイちゃんが、はじめて学校で写生をすることになりました。 その際、先生に、学校の校舎を「見えたまま」描くよう、指示されました。 その指示に従い描いたメイちゃんの建物の絵を見て、美大出身の先生が注意しました。 「...
哲学/思想

アリストテレスの形而上学

目的論的自然観 例えば、石を手から離すと、必ず下に落ちます。 まるで石が目的を持って、自分のあるべき場所を目指し、運動しているようです。 これは自然のすべての事物に当てはまります。 それだけでなく、自然の諸事物の形態も、目的を持...
哲学/思想

プラトンのイデア論と弁証法(かんたん版)

現象の世界 私の目の前には、さまざまな事物があります。 目の前の現実に現れる象(かたち)という意味で、それを「現象」と呼びます。 いま目の前に、私の好きな女の子「しずかちゃん」がいたとすれば、「しずかちゃん」が私の目の前に現象として現...
哲学/思想

ソクラテスの問答法

はじめに ソクラテスは、私たちのイメージにあるような本や論文を書くタイプの哲学者ではなく、ただ市中でひたすら様々な人と対話し続けた実践の人です。 書き物は死んだ言葉だとして好まず、生きた言葉の対話によってのみ知の活動を行いました。 ...
哲学/思想

プラトンの『クリトン』

第一幕、クリトンの提案 ソクラテス どうしたのだ、クリトン、こんな時間(夜明け少し前)にやってきて。 ずっとそこにいたのかい? よく看守が通してくれたね。 クリトン いやあ、看守とは顔馴染みで、少しばかりの心付けを渡...
人生/一般

愛とは何か

愛の定義 「愛」という概念の定義付けは、芸術家や宗教家の永遠の課題です。 たぶん、論理理屈だけで説明できる代物ではないので、偉い学者などより、感性や実践を重んじる彼らの方がよく理解できるのでしょう。 理屈だけでは理解できない難物だから...
哲学/思想

プラトンの『ソクラテスの弁明』

はじめに 紀元前399年、ソクラテスは告発され処刑されます。 ソクラテスの新しい思想に脅威を感じた保守派の有力政治家アニュトス、およびその取り巻き(詩人メレトス、弁論家リュコン)によって起こされたものです。 準備された告発の内容は、ソ...
哲学/思想

ニーチェの『道徳の系譜』第二論文~罪と罰、良心と負い目

第一論文「よいと悪い」のつづき <第二論文「罪と罰、良心と負い目」> 一、忘却力と記憶力 人間において「忘却」は、非常に能動的な意味をもっています。 それは意識の扉、門番のようなものであり、意識が落ち着いて仕事(高度な機能)をなすた...