樽の中のネコデゲス

人生/一般

理由とは何か

理由の探求 学問の基本的な目的のひとつが「理由(原因)」を探すことです。 理由が分かれば、何らかの悪い問題を解決したり、物事を良い方向へ操作的に動かしたりすることができます。 例えば、風邪をひきやすい人がいれば、その原因を探すことによ...
人生/一般

人間不信とは何か

人間不信は善くも悪くもない 人間は本質的には善でも悪でもなく、ニュートラルな存在です。 条件次第で悪にもなれば善にもなります。 人間が信じられる存在かどうかも同様、条件次第で変わるものです。 例えば、人を疑うこともなく、また人を騙す...
哲学/思想

論理学とは何か(3)述語論理

(2)命題論理のつづき 第五章、述語論理 一節、述語論理の語彙「個体と述語の記号」 述語論理は命題論理の拡張で、命題を主語と述語に分解し、より詳細に探究するものです。 命題論理の概念やシステムの土台の上に構築されます。 命題論...
哲学/思想

論理学とは何か(2)命題論理

(1)のつづき 第四章、命題論理 一節、命題と真理値(真偽) 先述のように、「命題」とは、真偽を問うことのできる主張をなす文のことです。 命題内容と、それに対応する現実を照合した時に、合っている(事実通りである)ものを「真」、合って...
哲学/思想

論理学とは何か(1)基礎

序章、論理学と推論 「論理学」とは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが、真なる認識を得るために考案した体系的方法です。 後に数学的により形式化され、「記号論理学」となります。 その内、特にアリストテレス論理学に沿う古典的なものが「命...
社会/政治

クラッパーの『マス・コミュニケーションの効果』第二部

第一部のつづき 第六章、暴力的メディア内容がもたらす効果 マスコミの効果に関する人々の大きな関心として、メディアにおける犯罪と暴力の描写が視聴者(特に若年層)に影響を与える、という問題があります。 客観的な統計により、すべてのメディア...
社会/政治

クラッパーの『マス・コミュニケーションの効果』第一部

第一章、イントロダクション 本書で扱われる内容は以下のようなものであり、各章で詳細な考察が展開されます。 1.マス・コミュニケーションは通常、受け手の効果の必要かつ十分な原因として作用するものではない。そうではなくて、マス・コミュニケー...
その他

おススメの映画100選

※個人的に良いと思う名作外国映画を紹介します(順番はテキトーです)。五年前の記事の画像付き版です。暇な時にアップします。ある程度誰でも観ることのできる(いわゆる普通の)映画に絞っています。 <人間っぽいやつ> 『エンジェ...
哲学/思想

バークリの『ハイラスとフィロナスの三つの対話』(3)

(2)のつづき 第三対話 フィロナス おはよう、ハイラス。 よい考えは見付かったかい? ハイラス いえ、ただ虚しさだけがつのっただけです。 人間の意見など不確かで、今日賛成していたことを明日には非難します。 そうやって、...
人生/一般

勝ち組、負け組とは何か

勝ち組と負け組 現代の俗語としての「勝ち組」「負け組」とは、競争社会における社会的地位および経済的地位の優劣を指す言葉です。 勝ち負けは評価基準によって相対的に変化するものですが、この「勝ち組」「負け組」の評価基準は非常に単純で、結果と...
哲学/思想

バークリの『ハイラスとフィロナスの三つの対話』(2)

(1)のつづき 第二対話 ハイラス 遅くなってしまって、申し訳ありません。 昨日のことをずっと考えていて、余裕がなくなってしまいました。 フィロナス いや、それだけ熱心になってくれれば嬉しいよ。 では、早速、考えたことを教...
哲学/思想

バークリの『ハイラスとフィロナスの三つの対話』(1)

はじめに 本書は、バークリの主著である『人知原理論』を、一般の人向けに対話編の形で解説したものです。 大学の構内で、研究員のフィロナスと学生のハイラスが出会うところからはじまります。 第一対話 フィロナス おやよう、ハイラス。 ...
哲学/思想

詭弁とは何か(2)実践

(1)のつづき はじめに 意図的な論理からの逸脱が「詭弁」、非意図的な論理からの逸脱が「誤謬」です。 論理的に非常に見破り難い詭弁とは、裏を返せば、論理的に非常に誤りやすい誤謬であるということです。 本頁では、難しい詭弁(誤謬)から...
哲学/思想

詭弁とは何か(1)基礎

レトリックと詭弁 「レトリック」とは、弁論術、説得術、修辞学などの"言語の表現の技術"を指す、古代ギリシャに由来する概念です。 現代では文学的修辞法のイメージが強いですが、それはレトリックの一部にすぎません。 これはあくまで言語表...
人生/一般

親ガチャとは何か

※ここで述べる家庭環境とは、主にお金と教育を指しています。 親ガチャと子ガチャ 「親ガチャ」とは、生まれる家庭環境の良し悪しの運の要素を、ランダムで商品が出てくる「ガチャポン」や、ランダムでゲーム内のアイテムやキャラなどが獲得できる「ガ...
芸術/メディア

バラージュの『視覚的人間』(2)

(1)のつづき 第五章、クローズアップ 映画のルーペは生組織の個々の細胞を我々の眼の前にもたらし、具体的な生の素材と実体をふたたび我々に感じとらせる。それはきみの手がなでたり打ったりしているのに、少しもきみが注意を払わず気づきもしないそ...
芸術/メディア

バラージュの『視覚的人間』(1)

※ここで述べられる「映画」とは、白黒のサイレント映画のことです。 第一章、視覚的人間 印刷術の発明によって、伝達手段は言語を通したものが中心となり、視覚の文化は概念の文化に変わり、精神は見られるものから読まれるものとなりました。 それ...
芸術/メディア

アルンハイムの『芸術としての映画』(3)映画の進化

(2)のつづき 第三章、映画の内容 身体を通しての心(精神) 映画がその表現のために使用する材料は、物質的対象と自然の出来事のみです。 その中でも人間の顔と身体の動きを手段にした、精神(思考や感情)の表現は、最も直接的で分かりやすい...
芸術/メディア

アルンハイムの『芸術としての映画』(2)限界の芸術的利用

(1)のつづき 第二章、映画の制作 1.本章の目的 映画は現実の出来事の機械的な記録への欲求から生じたもので、その関心は主題の「内容(何が描かれているか)」でしたが、映画が芸術になり始めると、映画だけの特別な手法によって対象を表現した...
哲学/思想

パースのプラグマティズム(2)

(1)のつづき 四つの能力の否定 パースは、西洋近代哲学の基礎であるデカルト主義(先天的方法)が前提としていた人間に備わる四つの能力を否定することで、自身の反デカルト的、反近代哲学的立場を明らかにします。 自己(認識主体)が自己の精神...
哲学/思想

パースのプラグマティズム(1)

プラグマティズムとは プラグマティズムはアメリカを代表する哲学であり、チャールズ・サンダース・パースがその創始者です。 一般的な「プラグマティズム」という言葉は、アメリカ人特有の単なる実利重視の「実用主義」と考えられています。 しかし...
人生/一般

逃げとは何か

逃げちゃダメ? 他人に対して「逃げるな」と言ったり、自分に対して「逃げちゃダメだ」と言ったり、人間は非常に逃げることに対して敏感です。 動物は危険や面倒を察知すれば躊躇なく逃げますが、人間には妙な自尊心や、漫画のヒーローのように危険や面...
哲学/思想

パースのアブダクション

三つの推論形式 チャールズ・サンダース・パースは、伝統的な推論の形式、科学的手続きである「インダクション(帰納法)」「ディダクション(演繹法)」に対し、もう一つの形式「アブダクション」を加えることを提唱します。 帰納法(インダクション)...
哲学/思想

ジェームズの『信じる意志』(かんたん版)

信じるべきか疑うべきか 本書の主題は、信じるべき(信仰)か疑うべき(懐疑)か、という問いです。 純粋に知的な問題であれば、目の前の選択肢のどちらを選ぶべきか(信じるべきか)を、充分な証拠が得られるまで疑い、確証を得た上で、そちらを信じれ...
哲学/思想

ジェームズの『信じる意志』(2)

(1)のつづき 第八章、科学的問題 所信の選択において、感情の影響は不可避であると同時に、合法的な決定因です。 所信の選択の最も基本的な最初の段階で、前章で述べた「真理を獲得する」か「誤謬を避ける」かという感情的な影響があります。 ...
哲学/思想

ジェームズの『信じる意志』(1)

はじめに 『信じる意志』は、イギリスの数学者、哲学者であるクリフォードの原理「十分な証拠なしに何かを信じることは不道徳である」に対する批判として為された講演です。 極端な科学的、実証主義的な懐疑から、道徳的信念や宗教的信仰を護るためのも...
芸術/メディア

アルンハイムの『芸術としての映画』(1)映画の限界

第一章、映画とリアリティ 1.本章の目的 写真や映画は機械的なリアリティの再現にすぎず、芸術になることはできないと、人々は言います(1933年当時)。 この見解に対し反論することによって、映画芸術の本質を明らかにすることが目的です。 ...
人生/一般

自己成就的予言(かんたん版)

自己成就的予言とは 自己成就的予言(自己実現的予言)とは、「予言が結果として事実になってしまう」という社会学的な法則の事を指しています。 なぜ、そういう事が生じるかと言うと、予言が予言に従った行為を生じさせるので、その行為が予言を現実化...
社会/政治

マートンの自己成就的予言

トーマスの公理 社会学者ウィリアム・アイザック・トーマス(1863-1947)が述べた以下の公理は、社会の動きを理解するために重要です。 「もし、人がある状況をリアル(真実、現実)であると定義すれば、それは結果においてもリアルである」 ...
芸術/メディア

バザンの『存在論と言語(映画とは何か)』

はじめに 本頁は、アンドレ・バザンの主著である『映画とは何か-全四巻-』のうち、映画理論を集めた第一巻『存在論と言語』を簡潔にまとめたものです。 最も重要な三つの論文「写真映像の存在論」「映画言語の進化」「禁じられたモンタージュ」を扱い...
芸術/メディア

CGの本質と限界

画材の本質 「あるメディア(メディウム)の本質は、そのメディア(メディウム)の限界に一致する」というのが、絵画の特質を深く考察したグリーンバーグの説です。 よく仏教の坊さんが言うように、「短所と長所は同じものを別の面から見たもの」という...
芸術/メディア

絵の上手さの種類

絵の上手さの分類 絵が上手いと言っても、色々な上手さがあります(注1)。 同じ運動能力と言っても、筋力と瞬発力の最大化を目指すウエイトリフティングと、心肺機能と持久力の最大化を目指すマラソンでは、まったく異なるのと同様です。 目的とな...
芸術/メディア

フォーマリズムとは何か(映画)

はじめに フォーマリズムとは日本語で「形式主義」です。 これは、形式(容れ物)と内容(中身)の対概念のうち、形式の方を重視する考え方です。 例えば、以前取り上げたグリーンバーグは絵画におけるフォーマリズムであり、マクルーハンの「メディ...
人生/一般

完璧主義とは何か

完璧主義者と真の完璧主義者 社会心理学者のエーリッヒ・フロムは、完璧主義に陥った人に対し、真の完璧主義者とは完璧を放棄できる人の事だ、と教え諭します。 真の完璧とは完璧の放棄、という矛盾した言葉ですが、この場合、前者は本質的な目的に対す...
心理/精神

ラザルスの『ストレスの心理学』(2)対処編

(1)のつづき 第五章、対処の概念 ーー 第六章、対処のプロセス 第一節、対処の定義 プロセスとしての「対処」とは、自分の力を超えるような環境(外部)および自身(内部)の双方(あるいは一方)からの強制的圧力が生じた際、それを適切に...