哲学/思想

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フロムの『正気の社会』(3)第五章後半

(2)のつづき 第五章、資本主義社会における人間(後半) 二節、資本主義の構造と人間の性格(続き) C.20世紀の社会(続き) 2、性格学的変化(続き) c.その他諸々の様相 ●匿名の権威-同調 18世紀および19世紀の権...
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フロムの『正気の社会』(2)第五章前半

(1)のつづき 第五章、資本主義社会における人間(前半) 一節、社会的性格 現代人の精神的健康を考察するには、先ず、社会的な条件が人間に及ぼす影響(いかなる社会様式が人の正気を助長し、また失わせるか)を研究しなければなりません。 こ...
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フロムの『正気の社会』(1)

序章 本書は、『自由からの逃走』の続編です。 人は、自由(主体的責任)の不安から逃走するために、強い指導者や民族や国家に服従する全体主義を望む、ということを述べたのが、『自由からの逃走』です。 二十世紀の民主主義社会においても、別の形...
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山本七平の『「水=通常性」の研究』

(1)のつづき 第一章、水を差す雨 「水を差す」と、「空気」は一瞬にして消失し、人々を現実に引き戻します。 時折降る雨のように、たった一言、誰かが現実の状況を語り、空気によって作り出されていた異常な幻想を霧散させると、人々は酔いが醒め...
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山本七平の『空気の研究/水の研究』(かんたん版)

第一章、「空気」の研究 一節、「空気」とは何か 私たち日本人は「空気を読め」などとよく言います。 一時期その頭文字を取った「KY(ケーワイ)」が流行語ともなりました。 しかし、この「空気」は「文脈を読む」という意味合いが強く、グレゴ...
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山本七平の『「空気」の研究』

※難しいのが苦手な方は、かんたん版をご覧ください。 第一章、「空気」 山本は、教育雑誌の記者に日本の道徳教育についての意見を問われ、概ね以下のようなことを答えます。 日本の道徳は「差別の道徳」であり、「知人(内集団)は助け非知人(外集...
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論理学とは何か(3)述語論理

(2)命題論理のつづき 第五章、述語論理 一節、述語論理の語彙「個体と述語の記号」 述語論理は命題論理の拡張で、命題を主語と述語に分解し、より詳細に探究するものです。 命題論理の概念やシステムの土台の上に構築されます。 命題論...
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論理学とは何か(2)命題論理

(1)のつづき 第四章、命題論理 一節、命題と真理値(真偽) 先述のように、「命題」とは、真偽を問うことのできる主張をなす文のことです。 命題内容と、それに対応する現実を照合した時に、合っている(事実通りである)ものを「真」、合って...
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論理学とは何か(1)基礎

序章、論理学と推論 「論理学」とは、古代ギリシャの哲学者アリストテレスが、真なる認識を得るために考案した体系的方法です。 後に数学的により形式化され、「記号論理学」となります。 その内、特にアリストテレス論理学に沿う古典的なものが「命...
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バークリの『ハイラスとフィロナスの三つの対話』(3)

(2)のつづき 第三対話 フィロナス おはよう、ハイラス。 よい考えは見付かったかい? ハイラス いえ、ただ虚しさだけがつのっただけです。 人間の意見など不確かで、今日賛成していたことを明日には非難します。 そうやって、...
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バークリの『ハイラスとフィロナスの三つの対話』(2)

(1)のつづき 第二対話 ハイラス 遅くなってしまって、申し訳ありません。 昨日のことをずっと考えていて、余裕がなくなってしまいました。 フィロナス いや、それだけ熱心になってくれれば嬉しいよ。 では、早速、考えたことを教...
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バークリの『ハイラスとフィロナスの三つの対話』(1)

はじめに 本書は、バークリの主著である『人知原理論』を、一般の人向けに対話編の形で解説したものです。 大学の構内で、研究員のフィロナスと学生のハイラスが出会うところからはじまります。 第一対話 フィロナス おやよう、ハイラス。 ...
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詭弁とは何か(2)実践

(1)のつづき はじめに 意図的な論理からの逸脱が「詭弁」、非意図的な論理からの逸脱が「誤謬」です。 論理的に非常に見破り難い詭弁とは、裏を返せば、論理的に非常に誤りやすい誤謬であるということです。 本頁では、難しい詭弁(誤謬)から...
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詭弁とは何か(1)基礎

レトリックと詭弁 「レトリック」とは、弁論術、説得術、修辞学などの"言語の表現の技術"を指す、古代ギリシャに由来する概念です。 現代では文学的修辞法のイメージが強いですが、それはレトリックの一部にすぎません。 これはあくまで言語表...
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パースのプラグマティズム(2)

(1)のつづき 四つの能力の否定 パースは、西洋近代哲学の基礎であるデカルト主義(先天的方法)が前提としていた人間に備わる四つの能力を否定することで、自身の反デカルト的、反近代哲学的立場を明らかにします。 自己(認識主体)が自己の精神...
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パースのプラグマティズム(1)

プラグマティズムとは プラグマティズムはアメリカを代表する哲学であり、チャールズ・サンダース・パースがその創始者です。 一般的な「プラグマティズム」という言葉は、アメリカ人特有の単なる実利重視の「実用主義」と考えられています。 しかし...
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パースのアブダクション

三つの推論形式 チャールズ・サンダース・パースは、伝統的な推論の形式、科学的手続きである「インダクション(帰納法)」「ディダクション(演繹法)」に対し、もう一つの形式「アブダクション」を加えることを提唱します。 帰納法(インダクション)...
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ジェームズの『信じる意志』(かんたん版)

信じるべきか疑うべきか 本書の主題は、信じるべき(信仰)か疑うべき(懐疑)か、という問いです。 純粋に知的な問題であれば、目の前の選択肢のどちらを選ぶべきか(信じるべきか)を、充分な証拠が得られるまで疑い、確証を得た上で、そちらを信じれ...
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ジェームズの『信じる意志』(2)

(1)のつづき 第八章、科学的問題 所信の選択において、感情の影響は不可避であると同時に、合法的な決定因です。 所信の選択の最も基本的な最初の段階で、前章で述べた「真理を獲得する」か「誤謬を避ける」かという感情的な影響があります。 ...
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ジェームズの『信じる意志』(1)

はじめに 『信じる意志』は、イギリスの数学者、哲学者であるクリフォードの原理「十分な証拠なしに何かを信じることは不道徳である」に対する批判として為された講演です。 極端な科学的、実証主義的な懐疑から、道徳的信念や宗教的信仰を護るためのも...
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ロックの『市民政府論』(かんたん版)

自然状態 人間は、自然本来の状態においては、完全に自由で、他人の意志ではなく自分の意志で行動を決定し、自分の生命と身体と財産を扱います。 同一クラスの被造物(人類)である人間は、万人が平等な権力、権限を持ち、主従の関係のない状態にありま...
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ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(6)

(5)のつづき 第十七章、簒奪について 197-198 ーー 第十八章、暴政について 199 簒奪は、他人が持つ正当な権利を横取りし、その権力を行使することです。 暴政は、権利を超えて権力を行使することです。 暴政はこの権力...
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ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(5)

(4)のつづき 第十四章、大権について 159 立法権力と執行権力が別の者に委ねられている統治形態では、法の不備を補うために、公益という基本原理に基づき、様々な事柄が執行権力の思慮分別に任されることになります。 法が予見できない事例...
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ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(4)

(3)のつづき 第十一章、立法権力の範囲について 134 立法権力は政治共同体の最高権力であり、それ以外のいかなる者の命令も、公的に選ばれ任命された立法部の承認なしには、法としての効力も拘束力ももちません。 法律を制定するための絶対...
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ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(3)

(2)のつづき 第八章、政治社会の起源について 95 生来的に自由で平等である人間が自然状態を脱し政治共同体に属するのは、己の合意によってのみであり、同意なしに他者の政治権力に服することはありません。 そして、合意によって結合した一...
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ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(2)

(1)のつづき 第六章、父権について 52 ーー 53 ここでいう「父権」は便宜的な名称で、実質的には母親を含む「親権」のことです。 54 「全ての人間は生まれながらに平等である(二章四節参照)」と述べましたが、言い換...
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ロックの『市民政府論(統治論第二論)』(1)

はじめに 本書『統治論(統治二論)』は前後編の二論に分かれており、第一論では国王権力の絶対性を聖書解釈によって裏打ちしようとしたフェルマーの王権神授説への反論がなされ、第二論ではそれに代わる人民を中心とした政治的統治について語られます。 ...
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パノフスキーの『<象徴形式>としての遠近法』

はじめに 小学一年生のメイちゃんが、はじめて学校で写生をすることになりました。 その際、先生に、学校の校舎を「見えたまま」描くよう、指示されました。 その指示に従い描いたメイちゃんの建物の絵を見て、美大出身の先生が注意しました。 「...
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アリストテレスの形而上学

目的論的自然観 例えば、石を手から離すと、必ず下に落ちます。 まるで石が目的を持って、自分のあるべき場所を目指し、運動しているようです。 これは自然のすべての事物に当てはまります。 それだけでなく、自然の諸事物の形態も、目的を持...
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プラトンのイデア論と弁証法(かんたん版)

現象の世界 私の目の前には、さまざまな事物があります。 目の前の現実に現れる象(かたち)という意味で、それを「現象」と呼びます。 いま目の前に、私の好きな女の子「しずかちゃん」がいたとすれば、「しずかちゃん」が私の目の前に現象として現...
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ソクラテスの問答法

はじめに ソクラテスは、私たちのイメージにあるような本や論文を書くタイプの哲学者ではなく、ただ市中でひたすら様々な人と対話し続けた実践の人です。 書き物は死んだ言葉だとして好まず、生きた言葉の対話によってのみ知の活動を行いました。 ...
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プラトンの『クリトン』

第一幕、クリトンの提案 ソクラテス どうしたのだ、クリトン、こんな時間(夜明け少し前)にやってきて。 ずっとそこにいたのかい? よく看守が通してくれたね。 クリトン いやあ、看守とは顔馴染みで、少しばかりの心付けを渡...
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プラトンの『ソクラテスの弁明』

はじめに 紀元前399年、ソクラテスは告発され処刑されます。 ソクラテスの新しい思想に脅威を感じた保守派の有力政治家アニュトス、およびその取り巻き(詩人メレトス、弁論家リュコン)によって起こされたものです。 準備された告発の内容は、ソ...
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ニーチェの『道徳の系譜』第二論文~罪と罰、良心と負い目

第一論文「よいと悪い」のつづき <第二論文「罪と罰、良心と負い目」> 一、忘却力と記憶力 人間において「忘却」は、非常に能動的な意味をもっています。 それは意識の扉、門番のようなものであり、意識が落ち着いて仕事(高度な機能)をなすた...
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ニーチェの『道徳の系譜』第一論文~よいと悪い

<第一論文、よいと悪い> 二、イギリス心理学者による考察 先行する道徳の歴史家たちには、歴史的精神が欠けており、本質的に非歴史的に考えます。 彼等(イギリスの心理学者)は言います。 「非利己的行為の恩恵に与った人々の側から“よい”と...