哲学/思想

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ウィトゲンシュタインの『論理哲学論考』

世界と事実 SF映画によくあるように、私の全ての記憶を消去されたとしましょう。 そして私は部屋で目覚めます。 その時、最初に私の眼に映ったものは、「こたつの上でネコが寝ている」という『事実』です。 いま、私の世界は「こたつの上でネコ...
哲学/思想

ハイデガーの『存在と時間』(2)

1のつづき 存在と時間 私たちは基本的に近代科学的な時間の概念でものを見ています。 それは直線的で、未だ来ない「未来」は「現在」になり、やがて「現在」は過ぎ去り「過去」になるというものです。 未来・現在・過去...
哲学/思想

ハイデガーの『存在と時間』(1)

存在と存在者 「存在とは何か」という問いは、人が思考する上で最終的にたどりつく有史以来の難問で、この探求を「存在論」といいます。 例えば宇宙の始まりや果てを物理学的に解明したとしても、人間のDNA構造を究極的に解析して人間の...
哲学/思想

ベンヤミンの『暴力批判論』

本書のねらい 暴力批判論の目的は、暴力と法と正義の関係を描くことです。 いわば暴力の歴史哲学的記述です。 自然法的暴力と実定法的暴力 自然法的な暴力とは、目的が正しければ手段である暴力も正当化されるという考え方です。 例え...
人生/一般

アリストテレスのエネルゲイア

概念 キーネーシス(運動)・・・目的をもち、そこを終点とした限界の中にある不完全(未完成)な行為。活動の主体が外部にあり動かされるもの。時間の内にある、物理的運動に類する行為。 エネルゲイア(活動)・・・目的がうちに内在し、限界(終...
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ソクラテスの無知の知と産婆術

無知の知の基本理念 自分が無知であると知る者こそが、真の知者である。 知とは単なる知っているつもり 例えば、私たちは「月が地球の周りを回っていることを知っている」と思っています。 しかし、本当にそうかと自分の知識を疑ってみて...
哲学/思想

サルトルの実存は本質に先立つ

基本理念 人間には本質がない。 ゆえに人間は実存(現実存在の略)としての行為が、自分自身の本質を作っていく。 具体的には 物には本質があります(ある物を成立させる重要な性質を本質といいます)。 例えば石の性質(...
哲学/思想

カントの『純粋理性批判』(1)物自体

理論 まずはじめに世界(もの)があって、それを人間が認識するのではない。 逆に人間の認識能力にあわせて世界(もの)は形づくられ、はじめて存在する。 具体的に 生物の知覚で例えてみましょう。 猫の聴覚...
哲学/思想

プラトンの弁証法

弁証法の成立 ソクラテスにおいては、相手に無知を自覚させるためのものであった「問答法」の中に、プラトンは思弁的な機能を見出し、それを世界の事物の普遍的な真理や法則を導き出す方法論としてとらえ返し、以後、ヨーロッパ思想の根幹となる「弁証法」...
哲学/思想

西田幾多郎の善

理論 ふたつの対立するものが、実はひとつのつながったものであるということに気付いた時、対立は止みます。 それが西田の言う「善」ということです。 具体的には 『長所と短所』 昔々、容姿のとても醜いカジモド...