宗教/倫理

哲学/思想

ジェームズの『信じる意志』(かんたん版)

信じるべきか疑うべきか本書の主題は、信じるべき(信仰)か疑うべき(懐疑)か、という問いです。純粋に知的な問題であれば、目の前の選択肢のどちらを選ぶべきか(信じるべきか)を、充分な証拠が得られるまで疑い、確証を得た上で、そちらを信じればよいだ...
哲学/思想

ジェームズの『信じる意志』(2)

(1)のつづき第八章、科学的問題所信の選択において、感情の影響は不可避であると同時に、合法的な決定因です。所信の選択の最も基本的な最初の段階で、前章で述べた「真理を獲得する」か「誤謬を避ける」かという感情的な影響があります。しかし、理想的に...
哲学/思想

ジェームズの『信じる意志』(1)

はじめに『信じる意志』は、イギリスの数学者、哲学者であるクリフォードの原理「十分な証拠なしに何かを信じることは不道徳である」に対する批判として為された講演です。極端な科学的、実証主義的な懐疑から、道徳的信念や宗教的信仰を護るためのものです。...
哲学/思想

ニーチェの『道徳の系譜』第二論文~罪と罰、良心と負い目

第一論文「よいと悪い」のつづき<第二論文「罪と罰、良心と負い目」>一、忘却力と記憶力人間において「忘却」は、非常に能動的な意味をもっています。それは意識の扉、門番のようなものであり、意識が落ち着いて仕事(高度な機能)をなすための余地と余裕を...
哲学/思想

ニーチェの『道徳の系譜』第一論文~よいと悪い

<第一論文、よいと悪い>二、イギリス心理学者による考察先行する道徳の歴史家たちには、歴史的精神が欠けており、本質的に非歴史的に考えます。彼等(イギリスの心理学者)は言います。「非利己的行為の恩恵に与った人々の側から“よい”と賞賛されたその事...
哲学/思想

ショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』

カントの「物自体」と「現象」としての世界あらゆる生物は、自己の持って生まれた認識機能や知覚機能の枠内でしか、世界をとらえられません。世界に色があるのは眼(色覚)のある動物にっとてだけであり、世界に音があるのは耳のある動物にとってだけです。リ...
人生/一般

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(かんたん版)

幸福とは人間行動の究極目的となるもの行動というものには、基本的にある目的があります。そして、その目的というものは、もっと大きな目的のための手段になっています。さらに、その大きな目的は、もっと大きな目的のための手段になっており、この階段を昇っ...
哲学/思想

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(5)幸福論補足

(4)のつづき<第十巻>第六章、幸福論まとめ幸福とは、「ヘクシス(状態、性向)」ではなく、「エネルゲイア(活動)」です。眠ったままの人は、いかに幸福な状態にあっても幸福ではありえないように。活動と言っても、他のもののために為す手段的な活動で...
哲学/思想

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(4)正義論

(3)のつづき<第五巻>正義第一章、正義一般正義とは、どのような中庸(中間)であるかを考察します。アレテー(器量、卓越性、徳)としての「正義」とは、正しい行為をし、正しいことを望むヘクシス(状態、性向)のことであり、「不正」とは、不正を望み...
哲学/思想

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(3)責任論

(2)のつづき<第三巻>責任第一章、自発と非自発行為には自発的(本意)なものと非自発的(不本意)なものがあり、これは行為者を評価する際や裁く際に重要な問題になります。一般的には、「強制」や「無知」によってなされる行為は非自発的なものとされて...
哲学/思想

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(2)中庸論

(1)のつづき<第二巻>中庸第一章、人間は習慣の産物である以上のように、人間のアレテー(器量、卓越性、徳)には二種類あります。ひとつは、思考の働きとしての知性的アレテーであり、これを成長させるのは主に教育、学びであり、時間と経験を必要としま...
哲学/思想

アリストテレスの『ニコマコス倫理学』(1)幸福論

※ダッシュ記号(―)によって省略されている章は、内容が他と重複しているもの、あるいは本書の大意を理解するのに重要でないものと判断し、割愛したものです。<第一巻>幸福第一章、目的は別の目的の手段である学問や技術、行為や選択など、人間の営みはす...
人生/一般

トルストイの『人生論』(かんたん版)

『人生論』とはトルストイの著作は明確に前期と後期に分けられます。前期は純粋に芸術家としての文学作品が中心であり、有名な小説『戦争と平和』がこれにあたります。後期は思想家(あるいは宗教家)としての文学作品が中心であり、有名な『復活(カチューシ...
人生/一般

トルストイの『人生論』(4)

(3)のつづき第二十八章~三十三章、生命とは何か【解説】長いので適当にまとめます。ここにきてようやく今まで具体的に語られなかった「生命」というものが定義付けられます。まず、生き死にに関わる自己というものが何なのかの考察から入ります。古代から...
人生/一般

トルストイの『人生論』(3)

(2)のつづき第十八章、幸福の条件私(個我)の幸福を不可能にするのは、第一に「個我同士の闘争」、第二に「倦怠と苦痛に終わる個人的快楽の虚構(欺瞞)性」、第三に「個我の有限性、いわゆる老いと死」と最初に述べました。こういう世界において、人間の...
人生/一般

トルストイの『人生論』(2)

(1)のつづき第十章、理性は人間にとっての自然の摂理魚がその本性に従い泳ぎ、鳥がその本性に従い飛ぶように、人間はその本性である理性の法則に従い生きることが自然なのです。勿論、人間の本質は「理性」によって規定されると同時に、私たちは動物です。...
人生/一般

トルストイの『人生論』(1)

序章一般に科学的思考というものは、合理的なものと考えられています。しかし、実際にはそれは非常に不合理なものであり、現代において科学と言うものはある種の宗教のようなものとなっています。ドグマ(教義)がためのドグマであり、科学の御名において私た...
哲学/思想

仏教哲学とは何か(4)今を生きる

(3)のつづき今とは何か仏教では「今を生きる」ということをしきりに説きます。今この瞬間、この時こそが実在であり、未来や過去は想像によって生み出された煩いの種でしかないと。しかし、「瞬間」とは一体なんでしょうか。曖昧なままでは仏教“哲学”では...
哲学/思想

仏教哲学とは何か(3)諦観と安心

(2)のつづき「ありがとう」と「おかげさま」前頁までで、一応、原理的なことは説明し終えましたが、抽象的で少し分かりにくかったと思います。ここからは日常経験やマンガや流行歌などによって、それらをもっと具体的に記述していきます。「あるもの」の存...
哲学/思想

仏教哲学とは何か(2)存在という幻想

(1)のつづき存在の恣意性世界という全体から「あるもの」を切り出してくることが、その存在を生成させると、前項で述べましたが、この切り出し方というものは、かなり恣意的(自分勝手)なものです。例えば、私たちがぼんやり無数の星が瞬く夜空を見上げる...
哲学/思想

仏教哲学とは何か(1)存在の本質

はじめに本頁は仏教を理屈でかつ分かりやすく解説することが目的です。専門用語は可能な限り使わず、具体例に即したものにします。仏教哲学とは仏教の哲学的な解釈です。対象となる仏教および解釈する哲学によってその内容は変わってきます。一般的な大乗仏教...
宗教/倫理

藤原基央の『カルマ』

運命の車輪まずこの絵をよく見ていただきたいのですが、回転する車輪に人間がしがみつき、一番下には骸骨、その上に浮浪者、その上に一般人、その上に貴族が描かれています。回転軸に紐が結ばれ、回転するようになっており、誰かが上がれば誰かが落ちる仕組み...
宗教/倫理

ルターの『キリスト者の自由』(かんたん版)

背景16世紀にローマ・カトリック教会で起きたキリスト教改革運動の代表となる者がマルティン・ルターです。ローマ・カトリック教会は、教皇を頂点とした中央集権的な教会組織のヒエラルキーによって、キリスト教界を合理的に統率します。しかし、強力なひと...
宗教/倫理

ルターの『キリスト者の自由』

一、キリスト者とは何であり、彼らにキリストが与えた自由とは何か。「キリスト者は全てもののも上に立つ自由な主人であり、何人にも従属しない」「キリスト者は全てものに奉仕する従僕であり、何人にも従属する」この二原則はパウロの論述から明らかである。...
宗教/倫理

ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』

プロテスタントと資本主義本書のタイトル通り、近代資本主義を発展させたエートスが、プロテスタントの倫理を源泉として生じたというその成り立ちを描き出すことです。「エートス」とは、ウェーバーが定式化した社会学的な概念で、その意味は「ある文化や人間...
哲学/思想

キルケゴールの『死にいたる病』

本書のねらい日常を無反省に生きる人々にその絶望の状態を気付かせ、キリスト者への目覚め(希望)をうながすために書かれたものです。本書の下巻として構想された『キリスト教の修練』につなげるための準備として、徹底的な現状把握をおこないます。死にいた...
哲学/思想

西田幾多郎の『善の研究』

主客未分の純粋経験デカルトが既存の一切のものを徹底的に疑って疑いようのない直接的な知識「コギト」を根本原理・前提として哲学を構築したように、西田はそこに「純粋経験」を置きます。「純粋経験」とは、あるがままの直接経験の事実、すべての始発点にな...
哲学/思想

カントの定言命法

定言命法と仮言命法カント倫理学の中心となる概念です。倫理的問題をあつかう際に、行為の結果を基準にする「結果説」(功利主義やプラグマティズムなど)と、行為に先立つ原因としての動機を基準にする「動機説」がありますが、カントの倫理観は典型的に後者...
哲学/思想

フォイエルバッハの『キリスト教の本質』

人間の本質あらゆる動物の中で宗教を持つのは人間だけです。そうであるならそれは人間の根本的な特別な性質、いわゆる本質に基づき生じたものであるはずです。通俗的に人間の本質として「意識」がよく挙げられますが、他の動物の行動を観察してみると彼らも厳...
哲学/思想

ショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』(かんたん版)

意志と表象様々な無数の事物が入り乱れる私たちの経験世界の根源に在るひとつのものを、ショーペンハウアーは「意志(生の意志)」と名付けます。宇宙全体の生成をつかさどる根源的な生の力のようなものを指しています。その根源的な一者が、人間の認識の形式...
宗教/倫理

鈴木大拙の禅

二に分かれる前の一を見る鈴木大拙のよき生徒であった現代音楽の巨匠ジョン・ケージは、巧みなイメージによってこの世界観を説明します。私たちがぼんやり無数の星が瞬く夜空を見上げるとき、それはひとつの全体としての星々を見ています。それを、二に分かれ...
宗教/倫理

森田正馬のあるがまま

理論あるがままに生きることの自然(ナチュラル)さを失うときに、人の心は病む。思考に囚われた不自然な心を解放し、あるがままの生をおくることによって、治癒する。具体的には・思考に囚われた状態の具体例百本の脚を持つムカデ(百足)にクモが言います。...
哲学/思想

西田幾多郎の善

理論ふたつの対立するものが、実はひとつのつながったものであるということに気付いた時、対立は止みます。それが西田の言う「善」ということです。具体的には『長所と短所』昔々、容姿のとても醜いカジモドという若者がいました。容姿のせいで自信の持てない...