芸術/メディア

心理/精神

バンデューラの『モデリングの心理学』(2)

(1)のつづき 観察学習における強化 オペラント条件付けにおける学習は、模倣された行動の結果に対し生じる好子(褒美)によって強化されると言います。 図式化すると以下のようになります。 モデル刺激→反応→強化刺激→ それに対し、学習...
芸術/メディア

エイゼンシュテインの映画の弁証法(2)

(1)のつづき 歌舞伎における弁証法 このエイゼンシュテインの弁証法の発想の原泉となったものとして、歌舞伎(忠臣蔵)のある場面が挙げられます。 以下、少し長いですが引用します。 忠臣蔵 一例。由良之助が開け渡した城を去る。そして舞...
芸術/メディア

エイゼンシュテインの映画の弁証法(1)

映画の弁証法 映画理論において最も重要なものとして、エイゼンシュテインのモンタージュ論というものがあります。 それは弁証法という哲学独自の概念を基礎にして、映画(あるいは広義に芸術)を作ることです。 弁証法とは何か (分かる人は読み...
芸術/メディア

演技とは何か

第一章、演技とは何か 演技 「演技」とは、人間の行為による再現、模倣です。 アリストテレスが演劇論において述べた「ドラーマ(drama)」の本質です。 いつの時代もどこの場所でも、人は演技を観ることを欲し、広場や劇場や映画館に足をは...
芸術/メディア

谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』

一、 二、 日本の厠は母屋から離れた廊下の先の庭の蔭にあり、それは薄暗く静寂な空間で、精神的に落ち着き、瞑想にふけるに最適の場所です。 小窓から見える庭の景色や、木の葉から落ちる水滴の音、鳥や虫の声などが聴こえ、四季の...
芸術/メディア

バラージュの『映画の理論』(5)

(4)のつづき <第二部> 第十三章、映画形式の問題/第十四章、アバンギャルドの形式主義 映画の本質的表現 第一部で明らかにしたのは、映画芸術が独自に獲得した表現方法についてです。 ...
芸術/メディア

バラージュの『映画の理論』(4)

(3)のつづき 第十章、編集 モンタージュ 勿論、前章で述べた視点(ショット、部分)の力は、それを取り巻くコンテクスト(全体)に拠ってのみ、意味を持ちます。 絵の中の一筆の色面、音楽の一つの旋律、...
芸術/メディア

バラージュの『映画の理論』(3)

(2)のつづき 第九章、変化する視点 映画における世界観 演劇や絵画の場合は視点は固定され、ひつとの遠近法において眺められるだけです。 それに対し、映画は視点を自由に変化させることができ、映画作家...
芸術/メディア

バラージュの『映画の理論』(2)

(1)のつづき 第五章、視覚的人間 印刷術の発明によって、人間の表情や身振りなどの視覚情報によるメッセージの伝達方法は廃れていきます。 見る精神は読む精神となり、視覚の文化は概念の文化へと変容します。 それに...
芸術/メディア

バラージュの『映画の理論』(1)

<第一部> 第一章、理論のススメ 映画は他の芸術よりも大衆の心を動かす強い力を持ちます。 抗することのできない自然力に対するために自然科学が生じたように、映画のその強い力に対するためにそれを理論的に研究せねばな...
芸術/メディア

光とは何か

その一、明暗 1、 初めに世界があった。しかし、何にも存在しない暗黒の宇宙です。 2、 神様は何かモノを創ろうとして、とりあえず白いボールを創りました。 しかし、真っ暗で何も見えません。 3、 ...
芸術/メディア

ディフォルメとは何か

ディフォルメとは何か 「ディフォルメ(仏:deformer)」とは、「~を変形させる、~の形をゆがめる」などという意味の言葉です。 主に美術の領域では、意図的な変形によって何らかのものを表現する際に使われる言葉です。 ここ...
芸術/メディア

アリストテレスの『詩学』(かんたん版)

創作の起源 本書の主題は「詩作」ですが、語義的にそれは芸術的な「創作」に近いものです。 アリストテレスはその創作の基本を物事の「再現(模倣、描写)」と考えます。 人間には生来的に再現を好む傾向があり、それは人々が実際の風景より精巧...
社会/政治

メイロウィッツの『場所感の喪失』第一部(2)

(1)のつづき 1-3 メディアの変化と役割の変化 社会的な地位というものは情報フローのパターンによって規定されます。 同一の地位にある人達は同じような状況(情報システム)に、異なる地位にある人は異なる状...
社会/政治

メイロウィッツの『場所感の喪失』第一部(1)

1-1 メディアと行動 既存のメディア論の大半は、メッセージ内容を主題としたものであり、各メディア相互の差異やメディア自体が持つ可能性は見落とされています。 メッセージ内容ではなく、それを取り巻く状況や受け手の主体性か...
芸術/メディア

柄谷行人の『日本近代文学の起源』構成力について

(2)のつづき 構成力について(没理想論争) 一、 日本の近代以前の文学には、何か深みというものが無いように思えます。 しかし、別に江戸時代の人々が深いことを考えていなかったという訳ではあ...
芸術/メディア

柄谷行人の『日本近代文学の起源』告白という制度

(1)のつづき 告白という制度 一、 告白という形式と日本の近代文学の成立は並行します。 告白は告白されるべき「内面」を生じさせます。 告白という形式の文学作品(表現されたもの)と、告白...
芸術/メディア

柄谷行人の『日本近代文学の起源』風景の発見

風景の発見 一、 「文学」という観念は相対的なものであるのですが、その中にいる限りなかなかそれに気付くことができません。 漱石の学んだ英文学の普遍性への疑いは、それが決して経験に先立つアプリオリなもので...
芸術/メディア

想像とは何か

注、本項は以前書いた「オリジナルとは何か」を発展させたもので、内容が重複しています。 現実の本質 SF映画によくあるように、私の全ての記憶を消去されたとします。 そして、私は部屋で目覚めます。 その時、最初に私の眼に映ったものは、「...
芸術/メディア

芸術家(職業)とは何か

食えない芸術家(日本の場合) 「芸術家は食えない」とよく言われます。 プロ(その道一本で食っていける)の芸術家と呼ばれる人も、大半が教えること(教育者)としての収入であり、純粋に自分の作品によるものではありません。 ...
芸術/メディア

デッサンとは何か

はじめに ここで言うデッサンとは、パースの正確なホンモノのような絵のことです。 石膏像で訓練するようないわゆる受験絵のデッサンであり、それを通して絵画における表現と技術の基本的な問題を考察します。 表現...
芸術/メディア

小野洋子の『グレープフルーツ』(2)

(1)のつづき 一、芸術は想像である ヨーコのアートにおいては、誰でもどこでも手に入るような普通の材料や媒体によって、頭の中にあるアイデアや芸術的な概念を表現することが重要です。 突き詰めれば、水や空気...
芸術/メディア

小野洋子の『グレープフルーツ』(1)

概要 本書は1964年東京で最初に出版され、後に1970年ロンドン、1971年ニューヨーク、そして逆輸入的に日本語完訳版(田川律訳)が1982年東京新書館より出版されました。 作品自体は1955年から描き集められたも...
芸術/メディア

カタルシスとは何か

カタルシスの一般的な意味 「カタルシス」は主に「浄化」などと訳される言葉であり、元々は医学的な意味での不純物の排出、宗教的な意味での穢れの浄化、そしてプラトンにおける哲学的な意味での魂の浄化として使われていました。 ...
宗教/倫理

藤原基央の『カルマ』

運命の車輪 まずこの絵をよく見ていただきたいのですが、回転する車輪に人間がしがみつき、一番下には骸骨、その上に浮浪者、その上に一般人、その上に貴族が描かれています。 回転軸に紐が結ばれ、回転するようになっており、誰かが上がれ...
芸術/メディア

藤原基央の『天体観測』

BUMP OF CHICKEN 『天体観測』作詞・藤原基央 解説(仮説) 1.「午前二時 フミキリに 望遠鏡を担いでった」 踏み切りで向かい合う男女、それを遮る列車の流れ、みたいなシーンはよくあ...
芸術/メディア

詩とは何か

はじめに ここで言う「詩」とは、「詩的なもの」という広い意味で使っています。 詩(詩的なもの)の良さがイマイチ分からない人に対して、ざっくりそれがどういうものなのかを簡単に説明することが目的です。 詩的...
芸術/メディア

アリストテレスの『詩学』(3)~最終章迄

(2)のつづき 第十六章、認知の種類 1.印による認知。生まれつきのあざや傷や刻印、首飾り等の外的標識。技法としては稚拙だが、逆転を伴うような場合(例、変装したオデュッセウスの足を洗う侍女がかつての乳母で...
芸術/メディア

アリストテレスの『詩学』(2)~第十五章迄

(1)のつづき 第九章、詩(創作)と歴史の違い、その普遍性、驚きの要素 詩人(創作家)は、歴史家のように既に起こった出来事を語るのではなく、起こるであろうような出来事、もっともらしく必然的な仕方で起こる可...
芸術/メディア

アリストテレスの『詩学』(1)~第八章迄

※本書は『詩学』というタイトルですが、内容は悲劇論、特にソポクレスの『オイディプス王』論であるため、事前にあらすじ(wikipedia)だけでも読んでおいて下さい。 第一章、詩作と再現、再現の媒体 詩作(創作)は...
芸術/メディア

プロップの『昔話の形態学』

形態学と構造主義 ここでいう「形態学」とは、概ね各個体が持つ形態の多様性の中から、それらに共通する基本的な原型のようなものを抽出し、すべての個体をその原型のメタモルフォーゼ(変形)として考えるものです。 プロップ自身...
芸術/メディア

グリーンバーグのメディウム・スペシフィシティ(2)

(1)のつづき 『さらに新たなるラオコオンに向かって』 序、 いま(年)声高に芸術の純粋性を主張する者たちの態度、すなわち絵画における抽象性やモチーフを離れた非対象への志向性は、決して独断的でカルト...
芸術/メディア

グリーンバーグのメディウム・スペシフィシティ(1)

語の意味 「メディウムスペシフィシティ(媒体特殊性)」とは、その媒体の本質的な特性を示す概念です。 メディウム(ミディアム、medium)は、なんらかのものの間にある中間項として、それらを媒介する媒体物を指します...
社会/政治

シラーの遊戯論と美的社会

美の定義 シラーにとって美の定義とは、「現象における自由」です。 現れにおいて自由な姿をしているものが、私たちに美と観じられるということです。 対象である自然(ネイチャー)が自然(ナチュラル)にその自在性を現わすとき、それは自由な戯れ...
芸術/メディア

カミュの『異邦人』(2)不条理の美

(1)のつづき 実存主義の美 今度は、「異邦人」に通底する美の問題について考えてみます。 世人から異邦人に転回したときに見えてくる、世界の美のあり様です。 分かりやすくするために、まず、条理を生きる世...