芸術/メディア九鬼周造の『「いき」の構造』(通常版) <第一章、序説> 言語とはその民族の存在の軌跡 言語と民族というものは、密接に関連しています。 ある言語およびその意味内容には、その民族の過去の在り様から現在の在り様までの変遷が記録されています。 使用される言語の中に、その民族の歴... 2021.02.06芸術/メディア言語/論理
社会/政治アンダーソンの『想像の共同体』(2)歴史 (1)のつづき <第四章、クレオールの先駆者たち> アメリカ大陸という特殊な場所 本章では、言語を要因としないナショナリズムとして、アメリカ諸国家について語られます。 言語においては結びついているはずの人々が、何を因子としてその国の... 2021.01.18社会/政治芸術/メディア
社会/政治アンダーソンの『想像の共同体』(1)理論 <はじめに> 本書のもつ意味 メディアによる人間への影響というものを考え抜いた人にマクルーハンという思想家がいます。 メディアと言っても広義のもので、車や住居なども含め、人と人をつなぐもの(中間物、メディウム、メディア)全般についての... 2021.01.07社会/政治芸術/メディア
心理/精神バンデューラの『モデリングの心理学』(2) (1)のつづき 観察学習における強化 オペラント条件付けにおける学習は、模倣された行動の結果に対し生じる好子(褒美)によって強化されると言います。 図式化すると以下のようになります。 モデル刺激→反応→強化刺激→ それに対し、学習... 2020.06.29心理/精神芸術/メディア
芸術/メディアエイゼンシュテインの映画の弁証法 映画の弁証法 映画理論において最も重要なものとして、エイゼンシュテインのモンタージュ論というものがあります。 それは弁証法という哲学独自の概念を基礎にして、映画(あるいは広義に芸術)を作ることです。 弁証法とは何か (分かる人は読み... 2020.06.13芸術/メディア
芸術/メディア演技とは何か 第一章、演技とは何か 演技 「演技」とは、人間の行為による再現、模倣です。 アリストテレスが演劇論において述べた「ドラーマ(drama)」の本質です。 いつの時代もどこの場所でも、人は演技を観ることを欲し、広場や劇場や映画館に足をは... 2020.03.14芸術/メディア
芸術/メディア谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』 一、 二、 日本の厠は母屋から離れた廊下の先の庭の蔭にあり、それは薄暗く静寂な空間で、精神的に落ち着き、瞑想にふけるに最適の場所です。 小窓から見える庭の景色や、木の葉から落ちる水滴の音、鳥や虫の声などが聴こえ、四季の... 2020.03.11芸術/メディア
芸術/メディアバラージュの『映画の理論』 第一章、理論のススメ 映画は他の芸術よりも大衆の心を動かす強い力を持ちます。 抗することのできない自然力に対するために自然科学が生じたように、映画のその強い力に対するためにそれを理論的に研究せねばなりません。 大学教育において文学や絵... 2019.11.14芸術/メディア
芸術/メディア光とは何か その一、明暗 1、 初めに世界があった。しかし、何にも存在しない暗黒の宇宙です。 2、 神様は何かモノを創ろうとして、とりあえず白いボールを創りました。 しかし、真っ暗で何も見えません。 3、 ... 2019.11.12芸術/メディア
芸術/メディアディフォルメとは何か ディフォルメとは何か 「ディフォルメ(仏:deformer)」とは、「~を変形させる、~の形をゆがめる」などという意味の言葉です。 主に美術の領域では、意図的な変形によって何らかのものを表現する際に使われる言葉です。 ここ... 2019.10.12芸術/メディア
芸術/メディアアリストテレスの『詩学』(かんたん版) 創作の起源 本書の主題は「詩作」ですが、語義的にそれは芸術的な「創作」に近いものです。 アリストテレスはその創作の基本を物事の「再現(模倣、描写)」と考えます。 人間には生来的に再現を好む傾向があり、それは人々が実際の風景より精巧... 2019.09.06芸術/メディア
社会/政治メイロウィッツの『場所感の喪失』第一部(2) (1)のつづき 1-3 メディアの変化と役割の変化 社会的な地位というものは情報フローのパターンによって規定されます。 同一の地位にある人達は同じような状況(情報システム)に、異なる地位にある人は異なる状... 2019.09.04社会/政治芸術/メディア
社会/政治メイロウィッツの『場所感の喪失』第一部(1) 1-1 メディアと行動 既存のメディア論の大半は、メッセージ内容を主題としたものであり、各メディア相互の差異やメディア自体が持つ可能性は見落とされています。 メッセージ内容ではなく、それを取り巻く状況や受け手の主体性か... 2019.08.28社会/政治芸術/メディア
芸術/メディア柄谷行人の『日本近代文学の起源』構成力について (2)のつづき 構成力について(没理想論争) 一、 日本の近代以前の文学には、何か深みというものが無いように思えます。 しかし、別に江戸時代の人々が深いことを考えていなかったという訳ではあ... 2019.08.16芸術/メディア
芸術/メディア柄谷行人の『日本近代文学の起源』告白という制度 (1)のつづき 告白という制度 一、 告白という形式と日本の近代文学の成立は並行します。 告白は告白されるべき「内面」を生じさせます。 告白という形式の文学作品(表現されたもの)と、告白... 2019.08.13芸術/メディア
芸術/メディア柄谷行人の『日本近代文学の起源』風景の発見 風景の発見 一、 「文学」という観念は相対的なものであるのですが、その中にいる限りなかなかそれに気付くことができません。 漱石の学んだ英文学の普遍性への疑いは、それが決して経験に先立つアプリオリなもので... 2019.08.11芸術/メディア
芸術/メディア想像とは何か 注、本項は以前書いた「オリジナルとは何か」を発展させたもので、内容が重複しています。 現実の本質 SF映画によくあるように、私の全ての記憶を消去されたとします。 そして、私は部屋で目覚めます。 その時、最初に私の眼に映ったものは、「... 2019.07.02芸術/メディア
芸術/メディア芸術家(職業)とは何か 食えない芸術家(日本の場合) 「芸術家は食えない」とよく言われます。 プロ(その道一本で食っていける)の芸術家と呼ばれる人も、大半が教えること(教育者)としての収入であり、純粋に自分の作品によるものではありません。 そういう意味では芸... 2019.07.01芸術/メディア
芸術/メディアデッサンとは何か はじめに ここで言うデッサンとは、パースの正確なホンモノのような絵のことです。 石膏像で訓練するようないわゆる受験絵のデッサンであり、それを通して絵画における表現と技術の基本的な問題を考察します。 表現... 2019.06.30芸術/メディア
芸術/メディア小野洋子の『グレープフルーツ』 概要 本書は1964年東京で最初に出版され、後に1970年ロンドン、1971年ニューヨーク、そして逆輸入的に日本語完訳版(田川律訳)が1982年東京新書館より出版されました。 作品自体は1955年から描き集められたものであり、日本で作ら... 2019.06.15芸術/メディア
芸術/メディアアリストテレスのカタルシス カタルシスの一般的な意味 「カタルシス」は主に「浄化」などと訳される言葉であり、元々は医学的な意味での不純物の排出、宗教的な意味での穢れの浄化、そしてプラトンにおける哲学的な意味での魂の浄化として使われていました。 しかし、アリストテレ... 2019.05.21芸術/メディア
宗教/倫理藤原基央の『カルマ』 運命の車輪 まずこの絵をよく見ていただきたいのですが、回転する車輪に人間がしがみつき、一番下には骸骨、その上に浮浪者、その上に一般人、その上に貴族が描かれています。 回転軸に紐が結ばれ、回転するようになっており、誰かが上がれ... 2019.05.20宗教/倫理芸術/メディア
芸術/メディア藤原基央の『天体観測』 BUMP OF CHICKEN 『天体観測』作詞・藤原基央 解説(仮説) 1.「午前二時 フミキリに 望遠鏡を担いでった」 踏み切りで向かい合う男女、それを遮る列車の流れ、みたいなシーンはよくあ... 2019.05.19芸術/メディア
芸術/メディア詩とは何か はじめに ここで言う「詩」とは、「詩的なもの」という広い意味で使っています。 詩(詩的なもの)の良さがイマイチ分からない人に対して、ざっくりそれがどういうものなのかを簡単に説明することが目的です。 詩的... 2019.05.17芸術/メディア
芸術/メディアアリストテレスの『詩学』(3)~最終章迄 (2)のつづき 第十六章、認知の種類 1.印による認知。生まれつきのあざや傷や刻印、首飾り等の外的標識。技法としては稚拙だが、逆転を伴うような場合(例、変装したオデュッセウスの足を洗う侍女がかつての乳母で... 2019.05.15芸術/メディア
芸術/メディアアリストテレスの『詩学』(2)~第十五章迄 (1)のつづき 第九章、詩(創作)と歴史の違い、その普遍性、驚きの要素 詩人(創作家)は、歴史家のように既に起こった出来事を語るのではなく、起こるであろうような出来事、もっともらしく必然的な仕方で起こる可... 2019.05.12芸術/メディア
芸術/メディアアリストテレスの『詩学』(1)~第八章迄 ※本書は『詩学』というタイトルですが、内容は悲劇論、特にソポクレスの『オイディプス王』論であるため、事前にあらすじ(wikipedia)だけでも読んでおいて下さい。 第一章、詩作と再現、再現の媒体 詩作(創作)は... 2019.05.09芸術/メディア
芸術/メディアプロップの『昔話の形態学』 形態学と構造主義 ここでいう「形態学」とは、概ね各個体が持つ形態の多様性の中から、それらに共通する基本的な原型のようなものを抽出し、すべての個体をその原型のメタモルフォーゼ(変形)として考えるものです。 プロップ自身... 2019.05.06芸術/メディア
芸術/メディアグリーンバーグのメディウム・スペシフィシティ ※能書き不要な方は次項の本論からお読みください。 語の意味 「メディウムスペシフィシティ(媒体特殊性)」とは、その媒体の本質的な特性を示す概念です。 メディウム(ミディアム、medium)は、なんらかのものの間にある中間項として、... 2019.04.15芸術/メディア
社会/政治シラーの遊戯論と美的社会 美の定義 シラーにとって美の定義とは、「現象における自由」です。 現れにおいて自由な姿をしているものが、私たちに美と観じられるということです。 対象である自然(ネイチャー)が自然(ナチュラル)にその自在性を現わすとき、それは自由な戯れ... 2019.03.21社会/政治芸術/メディア
芸術/メディアカミュの『異邦人』(2)不条理の美 (1)のつづき 実存主義の美 今度は、「異邦人」に通底する美の問題について考えてみます。 世人から異邦人に転回したときに見えてくる、世界の美のあり様です。 分かりやすくするために、まず、条理を生きる世... 2019.02.28芸術/メディア
芸術/メディア創作におけるオリジナルとは何か 問題設定 本項では、創作活動に必ずついてまわる、オリジナルとコピーの問題を扱います。 創作においては独創的であることやオリジナルであることに大きな価値が置かれるわけですが、果たしてそれは本当に大切なことなのでしょうか。 また、オリジナ... 2018.08.13芸術/メディア
芸術/メディア抽象絵画とは何か 抽象の絵画 一般的な定義としては、具体的で何が描いてあるかよく分かる具象絵画に対する、抽象的で何が描いてあるかよく分からないものが抽象絵画です。 けれどそんな外側だけの表面的な定義では、抽象絵画の何であるかという中身(本質)... 2018.03.06芸術/メディア
芸術/メディア表現主義とは何か 芸術分野においてよく「表現主義」という言葉が使われますが、いまいちそれがどういうものをさすのかよく分かりません。 それに対して「印象主義」といわれると、フランス印象派絵画のキラキラした風景など、多くの人が容易にイメージできます。 ... 2018.02.27芸術/メディア
芸術/メディアシュールレアリズムとは何か シュールレアリズムの定義 シュールレアリズムのそのノンセンス(意味不明)さを抽象絵画の意味不明さと混同して、それらを同じ部類のものとしてとらえる人が時々いますが、基本的にまったく別物です。 シュールレアリズムはモチーフ(... 2018.02.26芸術/メディア