人生/一般

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トルストイの『人生論』(2)

(1)のつづき第十章、理性は人間にとっての自然の摂理魚がその本性に従い泳ぎ、鳥がその本性に従い飛ぶように、人間はその本性である理性の法則に従い生きることが自然なのです。勿論、人間の本質は「理性」によって規定されると同時に、私たちは動物です。...
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トルストイの『人生論』(1)

序章一般に科学的思考というものは、合理的なものと考えられています。しかし、実際にはそれは非常に不合理なものであり、現代において科学と言うものはある種の宗教のようなものとなっています。ドグマ(教義)がためのドグマであり、科学の御名において私た...
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危機における五つの心得(自分用)

(※本稿は2020年4月緊急事態宣言発令時に書かれたものです。)危機において自分を戒めるための五つの心がけです。自分自身に言い聞かせるために整理したものです。誰かを批判する前に自分を批判(自己反省)する他人の責任を問う前に、先ず自分の責任を...
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エピクテトスの『要録』(2)

(1)のつづき二十四、自分が高い名誉や権力や財産を持たず、目立って社会や国家のために役立つ偉人ではない普通の人間であるということを嘆いてはなりません。自分の権内において立派な者であることこそが、最も価値のあることだからです。先ず、そういう自...
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偽善とは何か(2)実践

(1)のつづき実利的に考える前頁では本人の意志や態度を中心として、いわば観念的な問題として偽善について考察しましたが、実際的な問題として考えれば、端的に「善いことをする人は善い人、悪いことをする人は悪い人」です。実利的に言えば、心の内容は外...
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エピクテトスの『要録』(1)

本書についてエピクテトスは、セネカ、マルクス・アウレリウスと並ぶ後期ストア派の哲人です。高官であるセネカや皇帝であるマルクスとは真逆で、奴隷として哲学を学び、解放後に哲学の学校を開くことになります。エピクテトス自身の著作は残っておらず、教え...
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自己責任とは何か

はじめに最近、「自己責任」という言葉が流行っています。しかし、この言葉が使われる時、たいてい何か矛盾した文脈で使われており、強い違和感を覚えます。そこで、この言葉の意味とその違和感の原因について考えてみたいと思います。自由と責任「自己責任」...
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キューブラー=ロスの『死ぬ瞬間』

概要人間は死ぬ瞬間に意識を失うので「死」を経験することができず、他人の死を通しての想像や、睡眠とのアナロジーなどによって間接的にとらえるしかありません。これは古代ギリシャの時代から言われていることです。ですから、現実的な「死」というものは、...
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アランの『幸福論』(7)

(6)のつづき八十二、八十三、八十四、礼儀の力礼儀というものは、乱暴な情念を鎮めるための体操です。せっかく与えられたこの短い人生という時を、くだらない情念のせいで無駄にしないための技術です。礼儀正しさの中にある柔軟さや自然さやゆとり、調和的...
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アランの『幸福論』(6)

(5)のつづき七十二、ロボットたちの口論普通、私たちの発する言葉には、意味があるものだと考えています。その人の心にある考えを言葉によって口にするものだ、と。しかし、大半の言葉はそうではなく、それは何の考えも持たない叫びのようなものです。私が...
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アランの『幸福論』(5)

(4)のつづき五十五、言葉は状況を作る環境が知らず知らずのうちにその人の行動を規定するように、言葉も同じ作用を持ちます。窓のない、薄暗い電灯の、コンクリートで冷えた空間内に居ると、人の心も閉鎖的で、暗く、冷たいものになります。それと同様、弱...
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アランの『幸福論』(4)

(3)のつづき四十二、四十四、本当の幸福人間は苦しみを嫌うものだと思われ、そして、苦しみこそが不幸だと思われています。しかし、そうではありません。例えば、重い荷を背負って山を登らされる奴隷の苦しみは嫌われますが、登山家が重いザックを背負って...
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アランの『幸福論』(3)

(2)のつづき二十七、想像に負かされる人達どんな仕事も、小さな作業の積み重ねによって達成されます。私たちは大きな仕事を目の前にした時、それに必要な膨大な工程や物や労力を想像し、それに押しつぶされ、諦めてしまいます。戦う前から負けてしまうので...
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アランの『幸福論』(かんたん版)

はじめにオプティミスト(楽観主義者)として有名なアランの『幸福論』をはじめとしたプロポ(哲学的断章)は、具体的で非常に分かりやすい言葉で書かれているはずなのですが、内容として何を言っているのかよく分からないことが多々あります。なぜかというに...
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アランの『幸福論』(2)

(1)のつづき十二、身体から心を制御する(その一)動物と違って人間には、思考と情念と言うものが存在します。その分、人は、調子を崩しやすいのです。急な坂道があったとします。馬は文句も言わず、ただ上っていきます。しかし、人間は、想像力がはたらき...
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恐れとは何か

恐れの原理「恐れ」の本質的あるいは原理的な意味を定義付けるとしたら、「未来に対するバッドな予測(バッドな未来の想像)」となるでしょう。そういう意味での対義語は期待「未来に対するグッドな予測(グッドな未来の想像)」です。「明日、台風上陸の恐れ...
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アランの『幸福論』(1)

はじめに文章が分かりやすすぎてむしろ分かりにくいアランの『幸福論』を、適度に抽象化して分かりやすくしようというのが、本頁の目的です。プロポの書かれた文脈(天声人語のような時節性)および文学的な要素は完全に無視し、人生哲学として役に立つ部分の...
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優しさとは何か

優しさの語源「優しい」という言葉の語源「やさし (優し・恥し)」の意味は、「痩せるほどつらい、肩身が狭い、気恥ずかしい、慎み深い、優美だ、しとやかだ、おとなしい、けなげだ」などという状態を指す形容詞です。さらに言えば、痩せるの形容詞化(「痩...
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問題意識とは何か

問題意識社会に出て働き出すと、職場の先輩や上司は例外なく「問題意識を持て」などと言います。世界平和や飢えた子供を救うというような大きな問題解決を仕事にする人ならまだしも、私達のような普通の仕事、毎日定食を作ったり、荷物を運んだり、電話に出た...
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偽善とは何か

偽善という言葉の難しさ最近、「偽善」という言葉がやたらと使われます。しかし、多くの場合、意味がない、あるいは適切でない文脈で使われているため、それはまったく生産的でない空虚な言葉になってしまっています。そこで「偽善」という言葉の意味を少し考...
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スマイルズの『自助論』

はじめに本書は成功者の偉人伝と、それを事例として導き出した成功のための一般則(理論)の、二つの文章から構成されています。本頁では後者の理論にスポットをあてているため、全十三章のうち、本質的な理解にあまり影響が無いと判断したいくつかの章を省い...
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虚無感とは何か

虚無感ある休日、長い昼寝をしてしまって日暮れ過ぎに起きた時、理由も分からない虚無感や不安に襲われることがあります。そんな日常のほんの些細な出来事や瞬間に訪れるこの虚無感の正体とは一体なんでしょうか。作られていく「私」人間は本来、生まれたとき...
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セネカの『人生の短さについて』

一、人生は使い方次第で、長くも短くもなる多くの人は人生が短いと嘆く。何の準備も整わないうちに、人は召される。偉大な人(ヒポクラテス)も「人生は短く、学は長い」と言う。しかし、私たちに与えられた人生の時間は十分に長く、偉大な仕事を成し遂げる時...
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ディオゲネスのシニシズム

キュニコス学派ソクラテスの弟子のうち、有名なプラトンとクセノフォンを除いた一派を小ソクラテス派といい、その中のひとつがキュニコス派です。キュニコスとは「犬のような人」という意味で、その野良犬のような生き方に由来し、キュニコスの英語cynic...
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差別とは何か

差別の二つの類型誰もが簡単に自分の意見を述べられる時代、誰もが自分を被差別者だと訴えます。それによって本当の差別が覆い隠され、見えにくくなっているのが現状です。そこで少し差別というものの本質や定義を、もう一度見返す必要がありそうです。差別を...
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ジェームズ・アレンの『原因と結果の法則』

<第一章、思考と人格>「人は自分が思っているとおりのものになる」自分の人格は自分の思考の完全な帰結です。思考は種であり、行動はその花です。無意識的(計画的でない)行動から、意識的(計画的)な行動まですべてです。そしてその行動の結果として、喜...
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自由とは何か

自由意志哲学においてもっとも雄弁に語られる自由は、サルトルに代表される実存主義的自由です。古くはローマ皇帝マルクス・アウレリウスの指導理性から、スティーブン・コヴィーのような現代のハウツー本まで、その自由は変わることなく語り継がれる普遍的と...
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スティーブン・コヴィーの『七つの習慣』個人編

<七つの習慣とは>物の観方を変える基本的にその人のあり方や世界のあり方は、その人自身の物の見方(観点や思考の枠組)に事前に既定されています。コップに半分入ったお酒を、「まだ半分もある」とポジティブにとらえ酒宴を楽しめる人と、「もう半分しかな...
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自信とは何か

自信の定義「自信」というものが語られる際、多くの場合それは自分を信じる信じない以前の問題を意味しています。「信じる」ということは、そもそもその選択の前に「疑い」がなければ生じないものです。例えば、私の子供が私の子供である事はたんなる「当然」...
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夢とは何か

夢の裏側を見る私たちは一般に夢をもつことがよい人生を送るための方法だと考えています。しかし、どんなことでも一長一短があるはずなのですが、あまり夢をもつということの短所や、反対の夢をもたないということの長所を挙げる人はいません。本頁ではそんな...
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努力とは何か

はじめに努力は報われないとよく言われますが、たぶん努力は報われます。努力が報われないと感じるのは、努力の意味を間違えて捉えてしまっているからです。生産性のない無意味な根性論や努力の美化も、そういう捉え違いから生じます。手段と目的の誤認 例え...
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自己満足とは何か

はじめに最近、「自己満足」という言葉がやたらと使われます。しかし、多くの場合、適切でない文脈で使われているため、何を言っているのかよく分からないことがあります。そこで、少し「自己満足」ということばの意味を考えたいと思います。自己満足という言...
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オバケとは何か

オバケの棲み処オバケの小説で有名な泉鏡花の作品に出てくる悪左衛門という魔物が、人間に対して面白いことを言います。オバケは人間の瞬く間を棲処とするので、人間には気付かれないという主旨です。人間が目を閉じている間だけ存在するとも解釈できますし、...
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生きることの意味

第一章、行為の意味生きることに意味はあるのか生きるというのは死ぬまで続く日々の行為の連続です。生きることの意味を問う前に、先ず行為の意味を考える必要があります。行為の意味そもそも、ある行為に意味があるとはどういうことでしょうか。ある言葉を定...
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マルクス・アウレリウスの『自省録』

自省録の概要ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの哲学をいくつかの要素にまとめるとすれば、「世界をありのままに見、自然の摂理を受け入れ、自己の理性に従い、今この時を生きる」ということになるでしょうか。徹底していることは、「現」に今ここにあるもの...