2020

心理/精神

フロイトの『夢判断』

毎晩夢を見る人間 私たちは毎日、睡眠時にたくさんの夢を見ていると言われています。 ただ、目覚めると、ほとんどのものが忘れられてしまいます。 個人の性質や状態によって、よく憶えている場合(いわゆるよく夢を見る人)と、憶えていない場合(い...
芸術/メディア

演技とは何か

演技 「演技」とは、人間の行為による再現、模倣です。 アリストテレスが演劇論において述べた「ドラーマ(drama)」の本質です。 いつの時代もどこの場所でも、人は演技を観ることを欲し、広場や劇場や映画館に足をはこびます。 人...
芸術/メディア

谷崎潤一郎の『陰翳礼讃』

一、 二、 日本の厠は母屋から離れた廊下の先の庭の蔭にあり、それは薄暗く静寂な空間で、精神的に落ち着き、瞑想にふけるに最適の場所です。 小窓から見える庭の景色や、木の葉から落ちる水滴の音、鳥や虫の声などが聴こえ、四季の...
人生/一般

エピクテトスの『要録』(2)

(1)のつづき 二十四、 自分が高い名誉や権力や財産を持たず、目立って社会や国家のために役立つ偉人ではない普通の人間であるということを嘆いてはなりません。 自分の権内において立派な者であることこそが、最も価値のあること...
人生/一般

偽善とは何か(2)実践

(1)のつづき 実利的に考える 前項では本人の意志や態度を中心として、いわば観念的な問題として偽善について考察しましたが、実際的な問題として考えれば、端的に「善いことをする人は善い人、悪いことをする人は悪い人」です。 実利的に...
人生/一般

エピクテトスの『要録』(1)

本書について エピクテトスは、セネカ、マルクス・アウレリウスと並ぶ後期ストア派の哲人です。 高官であるセネカや皇帝であるマルクスとは真逆で、奴隷として哲学を学び、解放後に哲学の学校を開くことになります。 エピクテトス自身の著作は残...
人生/一般

自己責任とは何か

はじめに 最近、「自己責任」という言葉が流行っています。 しかし、この言葉が使われる時、たいてい何か矛盾した文脈で使われており、強い違和感を覚えます。 そこで、この言葉とその違和感の原因について考えてみたいと思います。 自由...
人生/一般

キューブラー=ロスの『死ぬ瞬間』

概要 人間は死ぬ瞬間に意識を失うので「死」を経験することができず、他人の死を通しての想像や、睡眠とのアナロジーなどによって間接的にとらえるしかありません。 これは古代ギリシャの時代から言われていることです。 ですから、現実的な「死」と...
哲学/思想

デカルトの『情念論』(3)第二部・下

(2)のつづき 91~95、六つの基本情念「喜び」と「悲しみ」 「喜び」は快い情動で、精神における善の基本となるものです。 精神が善から受けるもの(結果)は喜びであり、喜びのないものは善とは言えません。 「悲しみ」は不快...
哲学/思想

デカルトの『情念論』(2)第二部・上

(1)のつづき 第二部、諸情念の枚挙と順序立て、および六つの基本情念 51、 情念は、精神(意志)の活動、身体の状態(により生じる脳内の諸印象)、そして基本的にそれらが関わる感覚の対象(感覚される事物)によって、引き起...
哲学/思想

デカルトの『情念論』(1)第一部

概略 第一部は分かりにくいので、先に簡単にまとめておきます。 先ず、精神には能動的なもの(A)と受動的なもの(P)があり、それぞれの対象が非物質的か(1)と物質的か(2)により、大きく四つに分かれます。(A1、A2、P1、P2) ...
哲学/思想

デカルトの『方法序説』『省察』(かんたん版)

妥協なき探究者 非常に優秀な学徒であったデカルトは、真理の探究のために様々な書物を読みあさります。 しかし、当時の学問の知識を極めつくした先にあったのは、学者によってただそれぞれ言うことが違うだけの、混沌とした知の迷宮でした。 そこで...
哲学/思想

デカルトの『省察』

はじめに 本書の正確なタイトルは、『第一哲学についての省察、神の存在および人間の精神と身体との区別が証明される』です。 神の存在証明、および人間の精神と身体は区別されるべき実体であることの論証を行います。 六つの省察に分か...
哲学/思想

デカルトの『方法序説』

はじめに 本書の正式なタイトルは、『著者の理性を正しく導き、もろもろの学問において真理を求めるための方法の序説、なおこの方法の試みなる屈折光学、気象学および幾何学』(落合太郎訳)です。 要は科学論文(屈折光学、気象学、幾何学)の序文にあ...