プラトンの弁証法

理論

まず、ある意見を出す。
次に、それに反対する意見を出す。
次に、そのふたつを総合するような新しい意見を考える。
そして、その新しい意見にまた反対する意見をぶつけ・・・(以下繰り返し)。

これを延々と繰り返すことによって、意見を深めていく。
それが弁証法です。

図式化すると、

「意見(A)」

「反対意見(否A)」
総合↓
「統一意見(B)」

「反対意見(否B)」
総合↓
「統一意見(C)」

「反対意見(否C)」
総合↓
「D」

「否D」

「E」

具体的には

ある学者と船長さんの対話

学者「地球は平らだ」

船長「いや、船が彼方に行くとき、船体の下の方から水平線に消えていくから平らじゃない」

学者「じゃあ、きっと円筒のような形をしてるんだ」

船長「いや、水平線はどの方角でも曲腺を描いているから円筒形じゃない」

学者「じゃあ、きっとレンズ型の円盤なんだ」

船長「いや、水平線に見える星座に向かって航行すると、それは一定に天球高く昇るので円盤ではない」

学者「じゃあきっと地球は丸いんだ!」

船長「・・・」

こうして真理に近づいていきます。

対話(自分との対話である反省も含め)においては、自分の考えと反対の意見を検討することによってのみ、前へ進み成長します。
自分の意見と同じものを検討するだけでは、同じ場所を往復するだけで、前進はありません。

アリストテレス以後

この考え方はアリストテレス以後の類-種関係や帰納などにも形を変えて引き継がれる重要な概念です。

弁証法は個別的な対立物である「種」差を統合する一般「類」に昇っていくという構造です。
「すずめ」や「タカ」や「ペンギン」など種的に対立するものは、それらを統一する上位概念である類「鳥類」に包摂されます。
近代以降の生物分類で例えれば、人間(ヒト)という種は、ヒト属ヒト科→霊長目→哺乳綱→脊素動物門→動物界→真核生物、という類-種関係の階段を弁証法的に昇っていくことによって導き出されます。

現実の経験的な差異ある個別事例「現象」から、それらを取りまとめる一般法則「理念・本質(イデア)」を導き出す実証科学の基本である帰納法も、同じように弁証法的階段を昇るような構造になっています。