スキナーの行動心理学(1)

オペラント行動

行動心理学の基礎となる理論です。
これは条件反射や刺激-反応関係という古典的な機械論的行動理論ではなく、あくまでも生物の自発的行動についてのオペレート理論です。

例えば子供がお母さんの真似をして食後に自分でお皿を洗ったとします。
それを見たお母さんが偉いねと褒めてお菓子をあげたとします。
これによりその後、子供はまた皿洗いをしようとするでしょう。
逆に「高いお皿なんだから触らないで!」とお母さんが叱責すれば、子供はその後皿洗いをしようとは思わなくなるでしょう。

自発的行動の頻度を高めることを「強化」、頻度を低めることを「弱化」と呼びます。
また、自発的行動を誘発する強化刺激を「好子」と呼び、この例では「お菓子」や「褒め言葉」がそれにあたります。
逆に自発的行動を抑えるような弱化刺激を「嫌子」と呼び、この例では「叱責」がそれにあたります。
好子、嫌子という字面からして褒美や罰と捉えられがちですが、厳密にはそういう感情的な概念ではなく、あくまで自発的行動頻度の増減を促す刺激でしかありません。
例えば、インターホンを押すと人が出てくるという造作ないことも「好子」です。
例えば、一見ご褒美に見えてもそれが行動頻度を低めるならそれは「嫌子」となります。

「好子」の出現によって自発的行動が強化される訳ですが(例-褒められたくて勉強する)、その強化は嫌子の消失によっても起こります(例-怒られたくないから勉強する)。
「嫌子」の出現によって自発的行動が弱化される訳ですが(例-勉強したらお兄ちゃんに意地悪されるからしなくなる)、その弱化は好子の消失によっても起こります(例-勉強しても誰も褒めなくなったからしなくなる)。

このような行動と環境の変化の関係を「行動随伴性」と呼びます。

心を捨てる心理学

心理学において一番重要であると思われる意識や心を、スキナーはあくまで二次的なデータとして扱い重視しません。

第一の理由として、意識や心という領域はあまりに曖昧で実証的な研究対象として扱うことが難しいため、人間行動の科学としては労力のわりに収穫が少ないという実利的な問題です。

第二に、科学の目的はその因果関係の記述と予測、それによる現象のコントロールにあります。
物理的な環境と違い内的な認知は直接操作できず、因果関係を特定するための科学において最も重要な実験が実施できないという問題です。

第三にそれがなくてもそれほど困らないという理由です。
「のどが渇いたから(意識・内)→水を飲む(行動・外)」の内-外の因果関係は、「一定期間水分摂取していない(環境・外)→水を飲む(行動・外)」の外-外関係として記述できるからです。
むしろ「のどが渇いたから」という目的の意識(内的状態)は、外-外関係の中間に付帯する副次的データに過ぎず、それは先行する環境変化(一定期間水分摂取していない)と後続の行動(水を飲む)を予測させるものでしかありません。
あたり前のはなし、水を飲むという行動の原因は生物体に水分が足りていないという外的環境であり、のどが渇いたという意識ではありません。

2へつづく