基礎練習・着衣その3~シワの構成要因一

日記

シワの基本法則一覧で紹介したシワを構成する要因の項目を、順に解説していきます。

A、身体の基本的な形状によるもの

A-1、形体の凹凸によるもの
これは単純に身体の形状に伴い、できるシワです。
例えば、一般男性の胸は平坦、胴はずん胴で、シワはほぼありませんが、女性は胸の凸とくびれの凹という基本的な形状に従い、男性にはないシワができます。
机の角が直角か円かによって、テーブルクロスのシワのでき方が異なるのと同様、運動の無い状態の基本的な形態の差異によるシワのでき方を主題にするものです。

A-2、大きさによるもの
これは身体の大きさに伴い、生じるシワの差異です。
身体が大きいほどシワの数が多く複雑になり、小さいほど少なく単純になります。
大人と子供の服では布面積が倍以上違いますが、使われている生地自体(厚みや硬さ等)の規格はあまり変わりませんので、面積が広いほど相対的にシワが細かくなります(というかそう見えます)。
例えば、成人男性の細かく多いシワ数でガキンチョの服を描いたら、不自然になりますので、描き分けが必要になります。
ここで述べているのは服のフォルムの比率の問題(例えば、大人服の方が子供服より袖が細長いフォルムなのでシワが多い)ではなく、全体的な特質のことです。
例えば、身長30センチの成人男性アクションフィギアに縮尺スーツを着せても、シワ数は現実のスーツ男性の10分の1位しか生じないのと同じ原理です(人形服専用の特殊糸による生地を開発したら、再現可能かもしれませんが)。

B、身体の動きによるもの

これは身体の動きによってできるシワです。
シワの中で最も影響が大きい(目立つ)要因です。
基本的に服は筒状で、人体の基本の動きは球体関節人形のような関節の曲げとひねりですので、シワも円筒形の布の「曲げ」と「ねじれ」のフォルムが基本となります。
それに「引っ張り」を加えた三つが、身体の動きによって生じるシワの基本要素となります。

B-1、曲げ
曲げた部分の内側を中心にした波紋のように広がるシワになります。
段々状に潰れ、徐々にシワのサイズ(波紋の円)が大きくなります。

B-2、ねじれ
これは単純で、ツイストキャンディ(ねじり飴)や絞った布巾のようなねじれたシワです。
服の中でネジれ回転する身体と、服との摩擦の度合いによって、ねじれの強さが変わります(詳細はD.で述べます)。

B-3、引っ張り
「引っ張る部分」と「引っ張られる部分」の間にできるベクトル線の様なシワです。
引っ張りの中心は直線、そこから外れるにつれてなだらかな円弧を描き弱くなっていきます。

B-4、可動順によるもの
身体を動かす順番の違いによって生じるシワの変化です。
例えば、普通に下から90度上げて前に習えする場合と、腕全体を後ろから一回転させて前に習えの位置にもっと来るのでは、シワのでき方が異なります。
女性は無造作に座るとスカートに汚いシワができるため、座る動作の順番(=シワのでき方)に気を遣います。

C、重力によるもの

これは重力によって生じる様々なシワです。
ギリシャ彫刻や衣装などにある、いわゆるドレープと言われるものです。
布は流体のような動きをするので、水の流れをイメージすると分かり易いと思います。
重力によってできるシワは、基本的に滝の水のように落ちる「落流」と、滝壺で跳ね返るような「つぶれ」が基本的な形状となります。

C-1.落流
高い所から低い所へ流れ落ちるようなシワです。

C-2.つぶれ
落ちた水が地面に着いた時に下からの抵抗によって生じる滝壺のようなぐちゃぐちゃしたシワです。
代表的なものが股下長めのズボン裾や、袖丈長めのスエットの手首周辺にできる蛇腹状のシワです。
抵抗の強い下の部分ほど、潰れも大きくなります。

 

その2へつづく