基礎練習・顔その2~キャラ化

日記

絵柄の選定

古典文学のマンガ絵本的なものを作るにあたって、最大の問題はキャラクターの絵柄です。
マンガや絵本の価値は、絵柄が非常に大きな部分を占めるので、ここで失敗すると、目的が達成されません。
目指しているのは、「どんな年齢どんな国籍の人であってもそれなりに見ることのできるニュートラルな絵でありつつ、ある程度古典文学の印象は壊さない堅さを保ちながらも感情移入できる絵柄」です。

最も普遍的な絵柄は、完全な「写実絵」か、ニコチャンマークのような完全な「記号絵」です。
極端に抽象化(記号化)してしまうと、古典文学らしい硬さが失われ、またドラマにおける表情の機微が描写できなくなってしまいます。
しかし、写実が強すぎると、今度は感情移入し難い絵柄になります。
そういう面で日本アニメーションの『世界名作劇場』の絵柄(いわゆるジブリ絵)はよく出来ていると思います。
写実絵(西洋)の良さと記号絵(東洋)の良さのいいとこ取りのハーフです。

たぶん、このハーフ絵と写実絵の中間位(写実寄りのクォーター)に落としどころがあると思います。
ノーマン・ロックウェル風の写実絵から世界名作風のハーフ絵の方向へ崩していって、いい塩梅の所で止めます。
勿論、作品の世界観によって多少絵柄は変えますが、個性的な絵にならない範囲で検討します。
一番上がロックウェルの素描(三人の御子さん)、一番下が世界名作劇場の最後の方の作品の絵柄(ロミオくん)で、参考のため番外にサンリオのキキ君(弟)とララちゃん(姉)がいます。
たぶん、写実65%記号35%くらいの絵柄で行きます。

参考練習

・写実90%、記号10%

Norman Rockwell

・写実75%、記号25%



・写実60%、記号40%


・写実50%、記号50%

©NIPPON ANIMATION CO., LTD.













・写実15%、記号85%

©SANRIO CO., LTD.

 

キャラクターの決定因

キャラクターを作る際に検討すべき主な要素は、以下のようなものになると思われます。

1.必然による形成
必然的にそうならざるを得ないキャラクター特性です。
キャラクターの特徴のベースは、物語の必然に拠る選択です。
例えば、貧民の子供が主人公である場合、必然的に、貧しいから痩せていて、服はボロボロです。
必然を無視すると、非常に不自然なキャラクターが出来上がってしまいます。

2.他キャラとの差異化の為の形成
キャラを立てるためには、周囲のものとの対比や差別化が必要になります。
付加あるいは強調される弁別特性です。
「ぜんざいの横に塩昆布」みたいに、甘いものを際立たせるために、しょっぱいものを一緒に並べるようなものです。
チビとノッポ、金髪と黒髪、熱血系とクール系、等。

3.記号論的意味付けとしての形成
キャラを意味付けるための記号論的マーク付けです。
表の意味の裏には隠れた意味があります。
ベンツの表の意味は「車」で、隠れた意味は「お金持ち」です。
スネオ君のリーゼントの隠れた意味は「見栄っ張り」、つり上がった眼は「狡猾」、年中半ズボンは「小学生」などです。
キャラクターに持たせたい意味を記号論的に配置し、キャラクターを作る作業です。

4.物語およびテーマの表現としての形成
・物語の表現(一部)としてのキャラ特徴。
例えば、ブラックジャックの顔の傷の黒い部分は、子供の頃にあった事故、および大手術、その執刀医に憧れ医者になるというストーリーの表現になっています。
・テーマの表現(一部)としてのキャラ特徴。
例えば、鉄腕アトムのお腹の原子炉は、「科学技術(原子力)は正しく使用すれば正義の力になり、誤れば悪の力になる」というテーマの表現になっています。
こんな感じで、物語やテーマを、キャラクターの特徴として落とし込む作業です。

5.鑑賞者に合わせた形成
ターゲットとなる鑑賞者のニーズに合わせたキャラクター構成です。
例えば、ターゲットが子供の場合⇒ディフォルメが強めの可愛いキャラで、オモチャ(けん玉で闘う)やペット(肩の上にリス猿)やギミック(片目が暗視装置)を持たせよう、みたいな感じです。

6.流行に合わせた形成
時代や流行に合わせたキャラクター構成や絵柄です。
例えば、何かやたら口に葉っぱや爪楊枝を咥えていた昭和の男子キャラや、何かやたら髪の毛に意味不明の寝癖がついていた平成の美少女キャラ。
絵柄はモロに時代が反映します。
最近は不安な社会の空気を反映して、グロ系や精神病理系の絵が流行っています。

7.作家の世界観および美的趣味による形成
作家が自由に作るキャラクターの特徴です。
作家によってこの範囲を0~100%まで、どこまで広げるかが変わります。
100%自分の世界観や趣味のみで作ってもよいのですが、1.を無視すると不自然になり、2.を無視するとキャラが弱くなり、3.4.を無視すると表現に深みが無くなり、5.6.を無視すると市場から見放されます。
1~6を全部ぶっ飛ばせるくらいの強烈な世界観を持っている作家や、自分の好きなよう楽しく作れればそれで満足という同人作家的な人なら問題ありません。

※ほかにもたくさんあると思いますが、とりあえず思いついたものを7つ並べました。また気付いたら追加します。

 

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