科学/自然

哲学/思想

デカルトの『方法序説』

はじめに 本書の正式なタイトルは、『著者の理性を正しく導き、もろもろの学問において真理を求めるための方法の序説、なおこの方法の試みなる屈折光学、気象学および幾何学』(落合太郎訳)です。 要は科学論文(屈折光学、気象学、幾何学)の序文にあ...
科学/自然

ユクスキュルの『生物から見た世界』(かんたん版)

生物によって違う感覚機能 生物はそれぞれ独自の感覚機能を持っています。 人間であればいわゆる五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)と呼ばれるものです。 当然、生物によってはその機能の数や種類や質が違い、人間と違って視覚や聴覚の無い生物も...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(4)革命の完成

(3)のつづき 第十一章、革命の不可視化 科学において非常に重要になるのが、教科書という権威ですが、この教科書というものは、革命や危機の混迷を可能な限り目立たないように編集します。 まるで科学が合理的で直線的な歴史の中...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(3)科学革命

(2)のつづき 第八章、危機への反応 科学者は変則性に出会いながらも、既成のパラダイムを放棄しようとはせず、危機を導く反証例を反証と認めたがりません。 一度パラダイムとなった科学理論は、それに変...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(2)危機の科学

(1)のつづき 第五章、パラダイムの優位 ある時期における概念や装置や方法などを理論的にとらえる際、そこに何らかの標準的な説明の仕方が共通して見られます。 それがその専門家集団のパラダイムであり、それは...
科学/自然

クーンの『科学革命の構造』(1)通常科学

第二章、通常科学への道 通常科学とは、ある過去の科学的業績を基礎にして進めていく研究を指し、それは次の科学革命が起こるまで一定期間続きます。 その基礎的な業績となる条件としては、第一に、その業績が他の対立する研究の支...
哲学/思想

ユクスキュルの『生物から見た世界』(完全版)

序章、環境と環世界 本書では、生物を単なる客体や反射に基づく機械として扱わず、環境の中にある固有の主体として扱います。 「生物から見た世界」の記述による、新しい生物学です。 それはコペルニクス的転回であったカントの主体の理論を、自然科...
科学/自然

演繹、帰納とは何か

演繹 演繹とは、基本的な推論の形式です。 いくつかの前提から結果(結論)を導き出す、いわば「下り」の推論です。 形式的には、 前提「AならばB」「Aである」→結果「よってBである」 前提「AならばB」「Bでない」→...
科学/自然

グルーのパラドックスとは何か

グルー色のエメラルド グルーのパラドクスとは、ある法則や命題の正しさを確証するために、データや事例を枚挙してその証拠とするという実証科学的手続き(帰納法)を破綻させるパラドクスです。 私は「すべてのエメラルドはグリーンである」という...
科学/自然

ヒュームの因果論

因果 例えば私が買ったばかりのお気に入りの服を着たくて、寒い日にもかかわらず薄着で出かけて風邪をひいたとします。 私は案の定「寒い日に薄着で出たから(原因)、風邪を引いた(結果)」という因果関係としてそれをとらえます。 しかし、健...
科学/自然

ベーコンの『ノヴム・オルガヌム(新機関)』

帰納と演繹 無人島に無知な少年がひとり置き去りにされてしまったとします。 自分より大きなものは水に沈み小さなものは浮くと考えるほど未熟な知性です。 その少年が、海にスギの巨木が倒れ浮かぶのを見、さらに後日サクラの木が川を流れているのを...
科学/自然

ダーウィンの種の起源

理論 環境に適応するように生物は進化し(進化説)、分岐して多様な生物種が生まれる(分岐の原理)。 具体的には まず、同じ生物種においても、ちいさな個体差があります。 同じ人間でも、身長が違ったり、肌の色が...
科学/自然

パラダイムとは何か

理論 まず、通常の科学観では説明できない変則的な事例が発見されて、科学は危機に陥ります。 そこで、変則事例を説明しうる革命的な科学理論が生じ、新たな科学観が形成されます(パラダイムシフト)。 この新しい科学観はやがて通常の科学とし...
科学/自然

ポパーの反証主義

基本理念 科学的理論(言明)の正当性は、それが正しいことの事例(証拠)を挙げる「実証」ではなく、それが間違いであることの事例の検討「反証」によって決定される。 反証事例すら挙げられない理論は科学ではなく、科学と非科学を線引き...