本田健の『ユダヤ人大富豪の教え』(4)

(3)のつづき

第八の秘訣、お金の法則を学ぶ

お金の知性と共に、お金の感性というものが存在します。
みな、お金を理論のように知性でとらえることはしますが、感情のような感性的な側面は無視してしまいます。
しかし、多くの場合、人間のお金に関する行動を支配しているのは、感性的な側面です。

知性的に見れば、お金というものはたんなる交換のための媒介物です。
しかし人間は勝手にそこに感情的な価値を付与し、それを見えなくさせてしまいます。
お金というものの数字を自己の人格的な価値としてみたり、何とでも交換できるお金を、交換の対象と同一視してしまい、友人や愛や幸せまでお金の代替物(金で買える物)として見てしまいます。
お金は本来、主人である人間の単なる手段であるのに、それが逆転し、人間はお金の奴隷に堕ちます。
金のために人は殺し合い、金のために仲の良かった親族がいがみ合い、金のために心や人生を捨てる人もいます。
お金というものに多大な感情的な価値付けがなされ、それが人の理性を駆逐し、狂わせます。

それは買い物においても同じことで、人間は理性的に「必要なもの」ではなく、感情的に「欲しいもの」を買ってしまいます。
「欲しいもの」は別になくても生きていけるものですが、欲しいものを必要なものと勘違いして、感情的に、なくてはならないものと信じ込んでしまいます。
そういう時は、その場ですぐに買わずに時間を置いて冷静になってみたり、他人の視点に立って自分を客観的に眺め、その買い物の行動が適切かどうか判断することです。

また、感情で物を買う人は、自分が何を買っているのかを理解していません。
例えば、本人は必要な車を買っているつもりが、実際は見栄のために貧乏人には全く似つかわしくない高級車を買い、必要な費用の倍のお金を支払っていたりします。
金持ちは何か買うとき、それが何を自分にもたらしてくれるかよく理解しているため、決して損になるようなものは買いません。
しかし、貧乏になる人は、広告に煽られた感情や世間の意見や個人的なコンプレックスなど、非常に感情的な衝動で物を買うため、多くの場合、買ったものは負債になり、稼いだ分だけ金を垂れ流すことになります。

お金を使うときは、それで本当は何を得ようとしているか理解し、支払うお金以上の対価を得られるものかどうか見極めることです。
例えば、気晴らしにブティックへ買い物へ行き、たくさんの洋服を買う人がいます。
それが自分の仕事に対するモチベーション維持につながっており、自分への投資だと言います。
その時に少し考えてみて欲しいのです。
本人は投資のつもりでも負債を買っているだけではないのかと。
はたして自分が支払ったブランド服の代金を回収できるだけの収入アップは実現したのかと。
もっと効率的な気晴らしなどいくらでもあるわけですし、減価償却の観点からすれば洋服より宝飾品の方が優れています。
何も考えずにお金を使っていれば、一生たまるわけがありません。

お金というものは交換のためのものです。
お金を何かと交換するに際して、それが支払いの価値以上のものであるかどうか見極める力が、お金持ちになる絶対条件です。
それを見る力のない人は、つねにお金を価値以下のものと交換し続け、手元には結局何も残りません。
逆にお金持ちは常に支払い以上に価値あるものと交換し続けるため、どんどん増殖していきます。
非常にシンプルですが、これがお金持ちになるための黄金律であり、本質です。

もちろんこれらの見識はお金持ちになるためのものですが、それだけではなく、人間が人間らしい人生を送るためのものでもあります。
お金に翻弄され、狂わされる人生を避けるためにも、お金の知識は必要なのです。
人は人生の選択においてつねにお金に影響され、自分らしく人間らしくあることを諦めてしまうこともが多々あります。
お金について見識を持ち、ある程度自由に操ることができるようになれば、お金に邪魔されない人生、自分のいきたい人生を送ることができます。

第九の秘訣、自分のビジネスをもつ

基本的に報酬というものは、相手の欲するものと自分のもつものを交換することで成立します。
このつながりというものをよく把握しておく必要があります。
例えば、私がショップの従業員であった場合、私はお客さんにサービスを与えてそれをお金と交換する仕事だと勘違いしますが、実際はそうではなく、私がサービスや労働を提供しているのはショップのオーナーです。
私のサービスが店を繁盛させてくれたことへの対価として、オーナーから報酬をもらっているだけです。
あくまでもお客さんのお金はすべてオーナーの提供するものとの交換です。
商品と共に私自身も、その提供するもののひとつです。
いくら私の頑張りによって顧客を10倍にしても報酬が10倍になるわけではなく、そのお金はオーナーの報酬であり、私のその働きに対する報酬額は交換の相手であるオーナー次第です。
この交換関係において、可能な限り多くの人との交換を自分という基点に集中させることが、お金持ちになるための基本です。
もし、私が自分のサービスに圧倒的な自信を持つなら、独立して個人店を出せば、すべての顧客が私という基点に集中し、自分の頑張りも怠慢も、すべてが直接的に報酬額としてあらわれます。

生活できる程度に適当にやっていくだけであれば雇われで十分なのですが、お金持ちになりたいのであれば、雇い主というたった一人の相手と自分の商品(労働力)を交換している限り、永久に埒があきません。
それには自分自身のビジネスをもつしか、方法がないのです。

それにはまず自分が何を売るか、どんなサービスや物を報酬の対価として提供するかを考えなければなりません。
自分の好きなことや適性などを考慮し、具体的な物を売るのか観念的なアイデアを売るのか、量で勝負するのか質で勝負するのか等、売るべき価値を実践の中でねり、自分のビジネスを確立していきます。

よほどの自信があるのでもない限り、小さくはじめて徐々に大きくしていく方が無難です。
大きくはじめればそれだけリスクも大きくなり、急成長させようとすればそのぶん負荷やひずみが生じます。
「それではチャンスを逃してしまう」と言う人がいるかもしれませんが、それは自分の無能を告白しているようなものです。
きちんとお金の法則を理解している人なら、どんな状況下にあってもいくらでもチャンスを見つけることができます。
成功する人は、常にどこかに開いているドアがあることを知っているからです。
仮に大きなチャンスに賭けて、一攫千金で成功したとしても、長くは持ちません。
なぜなら、獲得した資産を守るのも、このお金の法則についての知見だからです。

何を売るか(自分のビジネス)を決定すれば、あとは第一の秘訣で述べたような儲かるシステム作りです。
そしてその仕組みがある程度軌道にのれば、あとは管理を誰かに任せてもうまくいくような組織作りです。
「社長は会社に来なくても大丈夫」と従業員に言われて、はじめて優秀な経営者になるのです。
自分がいなければまわらないうちは、自分は経営者ではなく、まだ従業員の一員です。

第十の秘訣、目標の立て方を知る

目標の達成に失敗する場合、いくつかの共通する問題があります。

その大きな要因のひとつに、手段を目的にしてしまっているということが挙げられます。
本来は「○○という目標のために、その手段として××しなければならない」はずなのに、○○という目標を忘れ、近視眼的に××という手段のみにフォーカスされている状態です。
そうなると、「すべきこと」ばかりの重圧にひたすら束縛され、モチベーションというものは、どんどん低下していきます。
また、手段が自己目的になると、目標へ到るための全体地図を忘却し、旅程表から大幅にずれた無意味なことに時間とエネルギーを費やすことになります。
健康という目的のために、手段として食事制限をしていた人が、いつの間にかその手段に呑まれ目標を忘却し、栄養失調で健康を害するようなものです。

目標を常に具体的にイメージすることによってモチベーションが生まれ、目標というゴールをから逆算しいま手段として何をすべきかをとらえれば、けっして誤ることはありません。
目標というゴールに到るためには、具体的にどういう工程とステップが必要であるかを明確にし、それを具体的な形で一歩一歩現実化していくことによって、最短で目標を達成することができます。

そこで重要になってくるものが、時間です。
ただ、目標を立てるだけでなく、それに期限を設けなければ、永遠に達成することはできません。
目標を具体的にするというのは、たんに願望を書き出すということではなく、いわゆる5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どうやって)において、明確にするということです。
最終目的だけでなく、ステップ毎にも期限(いつ)をもうけ、実現していかななければ、それらが具体化していくことはありません。

(5)へつづく