ハウツーその3「ネガとポジを反転して本物か偽物かを見分ける」

画家が正確な画を描こうとする時、ネガとポジを反転して対象を見ます。
複雑なモチーフを描く際は、モチーフ自体ではなく外側の空間を見ながら描きます。
それは概念に対しても同じ方法が使えます。
本物(正確な概念)を知るためには、反対のものを知る必要があるのです。

本当の「勇気」をもつには、まず「怖気」を知らなければなりません。
怖気を知らない勇気とは、単なる怖いもの知らずの無知です。
殺人鬼に向かって行く幼児や、幽霊屋敷の門を堂々と叩く旅行者などがよい例です。
怖いものを知り尽くして、なお、それに立ち向かうことが本当の勇気です。

本当の「夢(理想)」をもつには、まず「現実」を知らねばなりません。
現実を知らない理想は、単なる空想やおとぎ話でしかありません。
空を飛ぶには離陸するための大地が必要なように、夢(理想)には現実という大地が必要です。
大地のない飛翔は、ただ夢の中でプカプカ浮いているだけの夢想にしかなりません。

本当に「信じる」ためには、まず「疑い」を知らねばなりません。
疑いのないものは単なる当然、当たり前であって、信じる必要すらありません。
「空は青いと信じる」とか、「私はいま生きていると信じる」などとはふつう言いません。
サンタクロースはいると当然に思っている幼児に、サンタの正体はパパだとお兄ちゃんが教えたとします。
それでもなお、幼児がサンタの存在を想うとき、本当の「信じる」ことが生まれるのです。

本物はいつでも反対のものを通過しています。
厳しさを知らない優しさは単なる甘やかしであり、優しさを知らない厳しさは単なるイジメであるように。